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在宅介護から施設入所へ コロナ禍の巣ごもりで見えてきた介護現場の課題

緊急事態宣言の東京で介護施設を運営する来栖宏二代表に聞く

岩崎賢一 朝日新聞バーティカルメディア・エディター

病院を退職した看護師は介護施設に流れてこなかった

――介護施設では、コロナのクラスターが発生するリスクもあって、仕事を辞める人もいるそうです。アゼリーグループでは職員の確保について、この1年どうでしたか?

 介護施設はもともと全国どこでも看護師が不足していました。1年ほど前、コロナ患者対応による負担増もあり、病院勤務の看護師が辞めているという報道がありました。私たち介護施設の経営者は、そういう人たちが転職してきてくれるかと期待していました。しかし、全国の知人たちと話していると、ほとんど流れてきていないということでした。

 私たちの施設は長く勤務している看護師が多いので、逆に「利用者を守るんだ」と一致団結してくれています。介護職員や事務職員に感染対策の指導もしてくれていますが、職員のプレッシャーは大きいと思います。

 職員がスマホにダウンロードしている新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA(ココア)」のアラートが鳴って、予防的に一定期間休むケースがでてきています。同居家族が濃厚接触者になり、仕事を休まなくてはいけなくなったというケースもあります。職員は、自分が施設にウイルスを持ち込まないだけでなく、家庭でも気をつける生活を1年以上続けているので、大変なストレスだと思います。

キーパーソンに聞く・来栖さんインタビュー拡大職員による施設内の定期的な消毒作業は今、ルーティンになっている(提供写真)

――介護職員や看護師が配置基準よりかなり多い人数を確保している施設と、ギリギリの人数で運営している施設があります。その差はコロナ対応でも大きく影響するのでしょうか?

 私たちの施設は、配置基準より多めの職員を確保して運営しています。クラスターが発生した施設には、ギリギリの人数で運営しているところもあると聞きます。ただ、私たちの施設含めて、人員確保の面で悪循環に陥るリスクは、どの施設にも常にあります。

――介護の現場では常に職員確保が課題とされてきました。コロナ禍で景気が後退し、介護への入職者が増えてくることはないでしょうか?

 不景気になると、介護への人材の流入が増えるのではないかといわれてきました。今回も期待する介護施設の経営者がいます。確かにリーマンショックの後、別な仕事から転職してくる人は増えました。しかし、そういう人はすぐいなくなってしまうという印象を持っている経営者は少なくないと思います。

 私は、本当に介護職としての適性があるのかを見極めないといけないと考えています。適性がない日本人の転職に期待するよりも、日本語ができる適性のある外国人を雇用した方がいいと思います。

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筆者

岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき けんいち) 朝日新聞バーティカルメディア・エディター

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで医療や暮らしを中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当、オピニオン編集部「論座」編集を担当を経て、2020年4月からメディアデザインセンターのバーティカルメディア・エディター。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)。 withnewsにも執筆中。

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