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ワクチン接種、「この注射器では困ります」~現場を悩ます「1日100万回」の裏側

「0.3ミリリットルが測りにくい!」 太くて短い注射器を配布

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 菅首相の号令で、政府は「1日100万回接種」の実現にしゃかりきになっている。元々、ワクチン確保と接種の準備が遅れていたうえ、7月末の五輪開会に間に合わせようと、政府も自治体もスケジュールに無理を重ねている。

医師らを啞然とさせた太くて短い注射器

そんな中、政府が支給したあるタイプの注射器をめぐり、SNS上で医師や看護師から「使いづらい」「ワクチン液を正確に測れない」と疑問や不満の声が出ている。

5月末、個別接種を行う千葉県の医院や病院に、ワクチンと共に思いがけないタイプの注射器(下の写真の上側)が大量に送られてきた。

上側が送られてきた注射器、下側は通常使用されるもの=千葉県の開業医・A氏提供拡大上側が送られてきた注射器、下側は通常使用されるもの=千葉県の開業医・A氏提供

 一見して分かるように、通常ワクチン接種に用いられる細身で長い注射器(写真の下側)に比べ、上側の注射器は太くて短い。注射器の容量は、通常のものが1ml(ミリリットル)なのに対し、上側のものは2倍の2mlである。

1人当たり0.3mlの吸引量が上下にぶれる恐れ

 ワクチンを接種する時は、ワクチン液の入った小ビンから1人当たり0.3mlずつ注射器に吸引し、それを非接種者の上腕に注射する。

 通常の1ml注射器では、0.1ml刻みの目盛りのうち「.3」とあるところまで吸引すればよいので、微調整がしやすい。

 一方、2ml注射器の目盛り数字は0.5mlごと。筒先のすぐ近くにある線目盛りを見て0.3mlを正確に吸引するのは技術的に簡単ではない。注射器の断面積が大きいために押し引きする棒の位置が少し前後にずれるだけで、0.25mlになったり、0.35mlになったりする心配がある。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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