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コロナ禍とその後の旅客鉄道のあり方を考える〜半世紀の視点

JR本州3社の未来への提言

福井義高 青山学院大学国際マネジメント研究科教授

コロナ後の輸送動向

 単にコロナ禍直前と現在を比較するのではなく、半世紀のスパンで輸送量を見てみると、コロナ後の旅客鉄道が進むべき道がより明確になる。

 すでに昨年発表した拙稿で述べたように、人間には移動への欲求があるため、ある程度の通勤はコストというよりむしろ望ましい時間の使い方ゆえ、リモートワークは限定的にしか普及しないと思われる。実際、コロナ禍のもとでも、日本が活気に満ちていた1970年代と同程度の輸送量が維持されている。コロナ禍は通勤輸送にとっては一過性のショックであり、生産年齢人口減による長期低落傾向──図6で示したとおり、すでに関西圏では四半世紀前から始まっている──には抗えないにせよ、いったんコロナ前の水準に戻ったうえで緩やかに減少していくだろう。ただし、週当たりの出勤日が減少することで、朝夕の列車の混雑は緩和されよう(定期輸送量は毎日乗るとして計算)。

山手線拡大山手線

 したがって、通勤輸送を主体とする大手私鉄の場合、すでにコロナ前に輸送量が大きく低下している路線はともかく、鉄道部門が全体として赤字に陥るような事態は当分考えにくい。とはいえ、バスでは運びきれないほどの需要があるところでの大量輸送という鉄道の特性が発揮できない閑散路線を、内部補助で維持する余裕は無くなっていく。

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筆者

福井義高

福井義高(ふくい・よしたか) 青山学院大学国際マネジメント研究科教授

青山学院大学国際マネジメント研究科教授。1962年生まれ、東京大学法学部卒。85年日本国有鉄道に入り、87年に分割民営化に伴いJR東日本に移る。その後、東北大学大学院経済学研究科助教授、青山学院大学国際マネジメント研究科助教授をへて、2008年から現職。専門は会計制度・情報の経済分析。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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