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キリスト教とイスラム教信者が50%を超す世界〜日本人の宗教観

日本の自然の豊かさが生んだ自然信仰

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 東京基督教大学の日本宗教リサーチ(JMR)によると、日本のキリスト教信者は105万人、人口比で0.83%(2019年5月8日の調査)にすぎない。宗派閥では、プロテスタントが60万人、カソリックが44万人、オーソドックスが1万人となっている。

 2018年のNHK調査では、日本人の62%は信仰宗教なし、仏教徒が31%、神道3%、キリスト教0.8%になっている。世界的には、全人口の33%がキリスト教、22%がイスラム教、13%がヒンドゥー教、6%が仏教になっているのに比べると、日本人の宗教は仏教徒が殆どで、しかも、大部分は信仰宗教なしで、キリスト教やイスラム教が浸透しなかった国だったと言えるのだろう。

大浦天主堂(小宮路勝撮影)大浦天主堂(小宮路勝撮影)

 日本に初めてのキリスト教が伝来したのは、1549年の事、フランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸し、布教活動を始めたのだった。1585年には、有島晴信ら九州のキリシタン大名が4人の少年をヨーロッパに派遣している。しかし、1587年には豊臣秀吉がバテレン追放令を出し、宣教師追放を打ち出した。1597年には6人の外国宣教師と20人の日本人信徒が長崎で処刑されている。1612年には江戸幕府が禁教令を出し、教会の破壊を命じている。1633年江戸幕府は鎖国令を出し、キリスト教の布教は禁止されている。

 1853年、ペリー来航後、1858年に日米修好通商条約が締結され、アメリカのプロテスタント宣教師らによる布教活動が始まる。長崎の大浦天主堂には潜伏キリシタンが訪れており、250年もの間、信仰が守られていたと言われている。「長崎と天草地方のキリシタン関連遺産」は2018年に世界文化遺産に登録されている。

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