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東芝・永山取締役会議長の再任に株主が「ノー」を突き付けた本質的理由

調査報告書への鈍い対応、個人株主軽視が招いたあり得ない事態

酒井吉廣 中部大学経営情報学部教授

重い意味を持つ6月10日の報告書

 東芝は3月18日に開かれた臨時取締役会で、「太田順司社外取締役・監査委員長(今次定時総会までで退任)が、監査委員会が2月に西村あさひ法律事務所を外部弁護士として雇い、関係資料の精査、関係者数名へのヒアリング、3万件以上のメールデータを確認したが、『不当な圧力』がかけられた事実はなかった」と、個人株主に回答する形で明言している。

 また、太田委員長は、東芝と経済産業省参与(当時)のM氏との関係について、個人株主が「10万円のステーキ」、「ムーラン」などをあげて、接待などの個人的な繋がりをただそうとしているのに対して、雇用関係もなければ委任契約もしていなかった、と話をそらす回答をした。

 しかも東芝の取締役会は臨時株主総会前に、大株主のEffissimo Capital Management Pte Ltd(以下、エフィッシモ)からの本格的な「不当な圧力」についての調査依頼を3回、受けたにもかかわらず、それに応じず、結果として、同社からの臨時株主総会の開催要求に繋がってしまった。さらに臨時株主総会では、この要求に対して、調査が業務の中断等に繋がり、(監査委員会の調査後のさらなる調査に)追加コストをかけることも正当化できないとして、取締役会の全員一致で反対したと説明したのだ。

 しかし、3月18日の臨時株主総会では、エフィッシモが提案した調査人による調査をすることが可決された。そして、調査人として選ばれた3人の弁護士が12人の補助者(いずれも弁護士)と共に、議決内容通りに3カ月の期限で調査した結果、臨時株主総会で東芝が説明した話は否定されたのである。従って、6月10日の調査報告書は非常に重い意味を持つ。

グローバル・スタンダードから外れた東芝のガバナンス

 エフィッシモが提案した調査人による6月10日の調査報告書を受け、6月14日に永山会議長は1時間半の記者会見を行った。そこで前日13日の指名委員会と取締役会で、太田委員長と山内卓社外取締役(指名委員会と監査委員会双方の委員)の辞任を決めたと発表、それ以外は「これからしっかりやる」という主旨のことを述べたが、グローバル・スタンダードのガバナンスで考えれば、この段階でアウトである。

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筆者

酒井吉廣

酒井吉廣(さかい・よしひろ) 中部大学経営情報学部教授

1985年日本銀行入行。金融市場調節、大手行の海外拠点考査を担当の後、信用機構室調査役。2000年より米国野村証券シニア・エグゼクティブ・アドバイザー、日本政策投資銀行シニアエコノミスト。この間、2000年より米国AEI研究員、2002年よりCSIS非常勤研究員、2012年より青山学院大学院経済研究科講師、中国清華大学高級研究員。日米中の企業の顧問等も務める。ニューヨーク大学MBA、ボストン大学犯罪学修士。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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