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しばらくはドル高が継続か〜引き続き好調が予想されるアメリカ経済

バイデン大統領再選の鍵握る2025年の経済状況

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

アメリカ経済成長「10%」の予測も

 2021年6月に入り、円・ドルレートは1ドル110円を突破し、6月25日現在、110円77銭を付けている。今年1月1日は1ドル103円20銭だったのだが、次第にドル高に推移し、ついに1ドル110円を超えてきた。背景には、2021年に入ってのアメリカの経済の強い回復がある。IMFの2021年4月の推計によると2021年のアメリカ経済の成長率は6.3%。この10年で最も高い成長を達成すると予想されている。2010~2019年の10年間の年平均成長率は2.30%であったが、一部専門家の間では成長率が10%に接近する可能性もあるとされているのだ。

 こうした状況を反映して、ニューヨーク・ダウ平均も5月7日には史上最高値の3万4778USドルを記録している。5月10日には3万5000USドルを突破したが、その後反落、3万4000USドル台で推移している。日経平均株価も世界的株高の状況を受けて、一時は3万円台に上昇(2021年4月5日)、その後、反転するものの、2万9000円前後で推移している。

Natali _ Mis/shutterstock.com拡大Natali _ Mis/shutterstock.com

好況の半面、「永久解雇される層」も拡大

 アメリカ経済の目覚ましい回復を誘導したのは財政・金融政策だ。3月の小売売上高が先月比9.8%程になるなど、バイデン政権による給付金を含む1.9兆ドルの追加経済対策もあり、消費が盛り上がりを見せたのだった。ただ、今年後半には景気は減速すると見られている。理由は二つあるという。一つは構造的要因。失業率は昨年4月の14.8%から今年3月の6.0%まで改善したが、職に戻ったのは「レイオフ」(一時解雇)されていた人が大半を占める。一方で「永久解雇」となった人は昨年4月より今年の方が多い。コロナ禍で社会のリモート化が進み、小売業界の破綻が相次ぐなど、人が関わる仕事が減っているためだ。新たな職を探すための移行期間は2年くらいとみられ、その間はクリントン政権第1期のような「ジョブレス・リカバリー(雇用なき回復)」の様相が強まりそうなのだ。これにより企業業績は改善するが、マクロ的な景気回復は減速する可能性がある。

 もう一つは財政面の理由だ。バイデン政権はバラマキ的財政のカンフル剤を打っている。背景には、トランブ前大統領を支持している中低所得層の白人の支持を増やし、トランブ氏の復権を阻む狙いがある。だが、いつまでも大判振る舞いは続けられず、いつかは限界がくることになる。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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