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中国・恒大の危機、地方政府1100兆円の債務に飛び火か

不動産頼みの経済成長。「隠れ債務」は膨張し、過去の成功モデルは行き詰まった

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 中国第二の不動産大手・恒大集団が経営危機に陥った。9月23日の最初の債券利払い2億3200万元(39億円)は、破綻寸前で手当てができて乗り越えた。

 負債総額は1兆9665億元(33兆4千億円)と巨額で、中国の名目GDPの約2%に相当する。年内にあと7回の利払いがあり、来年1月には元本返済が始まる。

 恒大の債券価格は市場で暴落(利回りは数百%に高騰)しており、新規発行による借り換えは難しい。とても安心できる状況ではない。

ただ同然の農地を不動産業者に販売する地方政府

恒大集団のホームページ。全国で手がけた不動産開発の写真や完成予想図が誇らしく並ぶ拡大恒大集団のホームページ。全国で手がけた不動産開発の写真や完成予想図が誇らしく並ぶ

 恒大はマンション建設が本業だ。土地が公有制の中国で、どのように建設用地を手に入れるのだろうか。

 主役は地方政府(省市区)である。省市区は「脱・貧困」の名目の下に、低所得の農村の住民を都市に移住させ、その跡地の使用権を入札で不動産業者に販売する。業者はそこにマンションなどを建設・販売して収益を上げる。

 元々ただ同然の土地なので、地方政府の販売益は大きい。さらに業者が払う土地増値税、契約税なども収入になるので、不動産開発のうまみは大きい。

 つまり地方政府と不動産業者は利害が一致している。これが中国全土に巨大なマンション群が歯止めなく建設されてきた理由である。

シャドーバンキングで資金調達。「隠れ債務」は700兆円も

恒大集団の本社が入るビル(中国・深圳市、井上亮撮影)拡大恒大集団の本社が入るビル(中国・深圳市、井上亮撮影)

 一方、地方政府は、自らの資金で公共事業を行い、道路、鉄道、空港などのインフラを建設している。その資金は主に第3セクターの「融資平台」(シャドーバンキング)が、銀行融資や債券発行によって調達する。

 地方政府はそれぞれGDPの成長率を競い合い、インフラ建設に力を入れている。土地を軸にして地方政府から業者まで一体化したこのシステムは、「土地財政」と呼ばれる。

 地方政府の債務総額は、24兆元(400兆円)と公表されているが、大手格付け会社・中誠信国際信用評級によると、「ほかに43兆元(730兆円)の『隠れ債務』がある」という。地方政府の債務は合計1130兆円という、信じがたい数字である。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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