不動産頼みの経済成長。「隠れ債務」は膨張し、過去の成功モデルは行き詰まった
2021年09月28日
中国第二の不動産大手・恒大集団が経営危機に陥った。9月23日の最初の債券利払い2億3200万元(39億円)は、破綻寸前で手当てができて乗り越えた。
負債総額は1兆9665億元(33兆4千億円)と巨額で、中国の名目GDPの約2%に相当する。年内にあと7回の利払いがあり、来年1月には元本返済が始まる。
恒大の債券価格は市場で暴落(利回りは数百%に高騰)しており、新規発行による借り換えは難しい。とても安心できる状況ではない。
恒大はマンション建設が本業だ。土地が公有制の中国で、どのように建設用地を手に入れるのだろうか。
主役は地方政府(省市区)である。省市区は「脱・貧困」の名目の下に、低所得の農村の住民を都市に移住させ、その跡地の使用権を入札で不動産業者に販売する。業者はそこにマンションなどを建設・販売して収益を上げる。
元々ただ同然の土地なので、地方政府の販売益は大きい。さらに業者が払う土地増値税、契約税なども収入になるので、不動産開発のうまみは大きい。
つまり地方政府と不動産業者は利害が一致している。これが中国全土に巨大なマンション群が歯止めなく建設されてきた理由である。
一方、地方政府は、自らの資金で公共事業を行い、道路、鉄道、空港などのインフラを建設している。その資金は主に第3セクターの「融資平台」(シャドーバンキング)が、銀行融資や債券発行によって調達する。
地方政府はそれぞれGDPの成長率を競い合い、インフラ建設に力を入れている。土地を軸にして地方政府から業者まで一体化したこのシステムは、「土地財政」と呼ばれる。
地方政府の債務総額は、24兆元(400兆円)と公表されているが、大手格付け会社・中誠信国際信用評級によると、「ほかに43兆元(730兆円)の『隠れ債務』がある」という。地方政府の債務は合計1130兆円という、信じがたい数字である。
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