習近平氏が「独裁」で目指す国家像〜別物になる中国
米国流の資本主義と訣別、その狭間で日本が味わう大きな困難
木代泰之 経済・科学ジャーナリスト
今年秋の中国共産党大会で党主席制を復活させ、習近平・党総書記(国家主席)が就任する可能性が出ている。共産党が国家を指導する中国では、党主席はかつて毛沢東が30年も務めた最高位である。
国家・社会を脅かす民間企業の経営者を攻撃
権力闘争の結果しだいで、総書記のまま5年の任期延長もありうるが、政治局常務委員会(7人)の集団指導体制の下では決定権が限られる。
しかし、党主席になれば、習氏の一言ですべてが決まる「独裁」に移行する。

習近平氏
世界が知りたいのは、習氏の「独裁」が目指す国家像である。重要なスローガン「共同富裕」の政策や発言を手掛かりに探ってみたい。
2020年秋、電子商取引のアリババグループを率いる馬雲(ジャック・マー)氏が粛清された。21年には不動産業業界や教育産業の経営者、著名芸能人などがヤリ玉にあがった。

ジャック・マー氏 SPhotograph/shutterstock.com
当初は中間層の不満を解消する超富裕層叩きの様相だったが、しだいに深い背景があることが分ってきた。
アリババグループは、その金融ビジネスが国有銀行の規模や機能を上回るまでに膨張し、国家の枠をはみ出そうとしたことで罰せられた。不動産業業界と教育産業は、庶民の住宅費や教育費を高騰させ、深刻な結婚難や少子化を招いたと指弾された。