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南北問題とウクライナ危機が温暖化対策を妨げる

各国の利害に翻弄される脱炭素の不幸

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

石炭廃止、石油・天然ガス1/3、再生エネ6割以上が理想だが‥

 そこでIEAは、グラフ(1)の「50年には実質ゼロ」を着地点に設定し、そこからバックキャスト(逆算)して、着地点に行くためのエネルギー構成の道筋を試算した。それが下のグラフである。

2050年実質ゼロシナリオのエネルギー見通し拡大2050年実質ゼロシナリオのエネルギー見通し

 石炭(青)利用は今後30年でなくし、石油(橙色)や天然ガス(灰色)は3分の1に減らす。逆に再生可能エネルギー(緑)は全体の6割以上に増やす、という内容だ。

 しかし、エネルギーは経済の重要インフラであり、その確保や利用には各国の存立がかかる。当然のことながらCOP26では各国の利害対立が露わになり、グラフのような具体的な道筋を決めることはできなかった。

脱炭素では技術や資金力がまさる先進国が優位に立つ

 2015年のパリ協定は200か国が参加して大成功だった。それは各国が自発的に目標を掲げて取り組む方針だったからだ。

Bernhard Staehli/shutterstock.com拡大Bernhard Staehli/shutterstock.com

 その後、人類に残された時間は少なくなり、COP26では規制を厳格に決めようとした。その結果、「世界は一つになって取り組む」どころか、各国の不協和音がかえって深刻になった。

 理由の第一は南北問題(先進国と途上国の経済格差や対立)である。途上国は「エネルギーを大量消費してきたのは先進国ではないか。途上国が発展しようという時に『脱炭素』を言い出すのは勝手すぎる」と反発する。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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