石炭廃止、石油・天然ガス1/3、再生エネ6割以上が理想だが‥
そこでIEAは、グラフ(1)の「50年には実質ゼロ」を着地点に設定し、そこからバックキャスト(逆算)して、着地点に行くためのエネルギー構成の道筋を試算した。それが下のグラフである。

2050年実質ゼロシナリオのエネルギー見通し
石炭(青)利用は今後30年でなくし、石油(橙色)や天然ガス(灰色)は3分の1に減らす。逆に再生可能エネルギー(緑)は全体の6割以上に増やす、という内容だ。
しかし、エネルギーは経済の重要インフラであり、その確保や利用には各国の存立がかかる。当然のことながらCOP26では各国の利害対立が露わになり、グラフのような具体的な道筋を決めることはできなかった。
脱炭素では技術や資金力がまさる先進国が優位に立つ
2015年のパリ協定は200か国が参加して大成功だった。それは各国が自発的に目標を掲げて取り組む方針だったからだ。

Bernhard Staehli/shutterstock.com
その後、人類に残された時間は少なくなり、COP26では規制を厳格に決めようとした。その結果、「世界は一つになって取り組む」どころか、各国の不協和音がかえって深刻になった。
理由の第一は南北問題(先進国と途上国の経済格差や対立)である。途上国は「エネルギーを大量消費してきたのは先進国ではないか。途上国が発展しようという時に『脱炭素』を言い出すのは勝手すぎる」と反発する。
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