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アメリカから広がる世界的インフレ、国際協力で対応を

日本にも大きな影響

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

進むアメリカのインフレ、四つの要因

 2021年12月のアメリカの消費者物価(CPI)の前年比は7.0%と1982年6月以来の高い水準だった。インフレの第1の原因はエネルギー価格の上昇。特に寒波などによるエネルギー需要の増大に対し、供給が追い付かなかったのだ。また、ウクライナをめぐるロシアと欧米の対立が、もし対ロ制裁や武力衝突につながると、ロシアからの石油、ガス輸出に影響するとの懸念もあるという。

 第2にサプライチェーンの混乱。新型コロナウイルスの陽性者が出るなどの理由で工場が休業に追い込まれ、輸送手段が得られない等、必要な部品や商品がタイムリーに届かなくなっている。第3に消費需要の増大。ロックダウンの最中にもテレワーク用のIT機器や家具の需要が高まったが、その後もワクチンの普及などにより経済活動が徐々に正常化した結果、いわゆるリベンジ消費が進んでいるのだ。

SERSOLL/shutterstock.com拡大SERSOLL/shutterstock.com

 第4に、人手不足。アメリカでは働き盛りの人々が仕事を辞め、労働市場から抜け出てしまった。感染への恐怖心や、学校閉鎖中の子供の面倒を見るため等の様々な理由だが、海外から移民流入も減っているため、賃金が上昇している。そして、最後により長期的、構造的要因として、住居や車などへの需要が挙げられる。テレワークの進展で、人々は必ずしも都心に近い所に住む必要が無くなり、より広い家への転居が流行しているという。また、見知らぬ人との接触を避けるため、自動車での通勤、通学が増えているというのだ。

 アメリカの中央銀行であるフェデラル・リザーブ・バンク(FRB)は利上げによってインフレをストップしようとしているのだが、一般的に、利上げによる効果は1年から1年半かかると言われている。しかし、FRBは利上げをちらつかせて、インフレに断固対応する姿勢を見せている。人々にインフレは早々に落ち着くとの予想を植え付けようとしているのだという。

 当然、アメリカのインフレは既に世界の経済や金融市場に大きな影響を及ぼし始めている。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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