超低金利を口実に国債が大量に発行された
日銀はすでに9年間金融緩和を続けているが、2%目標は達成できず、GDPも低成長のまま。それどころか日本経済の根幹にさまざまな傷跡を残している。

国債発行残高の推移(単位:兆円。橙色の部分が黒田総裁就任後の残高、約250兆円増加した)
(1)財政悪化は深刻。超低金利は安倍政権に国債を大量発行する口実(利払い費が少なくてすむ)を与えた。その結果、発行残高は9年間で約250兆円増えて1000兆円をこえた(上のグラフ)。
財務省の「仮定計算」では、金利が1.1~1.3%上がると、利払い費は6〜7年のうちに15兆円(現在は9兆円)に膨らみ、財政破綻の懸念が生じる。
(2)日銀の財務悪化がひどい。国債発行残高の約半分の約500兆円は日銀が引き受けている。太平洋戦争中の国債発行と同じ、禁じ手の「財政ファイナンス」である。
日本総研の河村小百合・首席研究員は「短期金利が1.2%に上昇するだけで日銀の財務は毎年5兆円の損失を出し、2〜3年続くと債務超過に陥る」と指摘する。中央銀行が債務超過になるような国の通貨や国債をだれが信用するだろうか。重大な問題である。
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