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相続税なしのロシアと中国〜増殖・腐敗する政権周囲の富裕層ファミリー

パナマ文書で露見したプーチン氏や習近平氏周辺の権力濫用と蓄財

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

経済制裁で暴落するロシア通貨「ルーブル」

 ロシアへの経済制裁は、金融機関からプーチン大統領や側近、「オリガルヒ」と呼ばれる富裕層にまで拡がっている。

 1月に1ドル=70~80ルーブルだった為替相場は、直近では123ルーブルまで暴落した(下のグラフ)。16日には外貨建て国債の利払いが控えており、デフォルトの恐れがある。モノ不足は深刻になり物価は高騰し、国民の不満は頂点に達するだろう。

ロシアルーブルの対ドル相場拡大ロシアルーブルの対ドル相場

「パナマ文書」にプーチン氏親友の取引記録

 今回の制裁の特異性は、大統領を支える高官や富裕層、その家族を個人的に狙い撃ちする点にある。この国を支配するのはこれら一部の特権階層という認識だ。

ricochet64/shutterstock.com拡大ricochet64/shutterstock.com
 プーチン氏らの不正蓄財の一端は、2016年に公表された「パナマ文書」によって暴かれた。本人の名前はなかったが、大親友とされるチェロ奏者セルゲイ・ロルドゥギン氏の取引記録が見つかった。

 「パナマ文書」とは、パナマの法律コンサルティング会社「モサック・フォンセカ」から漏洩した膨大な取引データだ。

 これを南ドイツ新聞が入手。国際報道調査ジャーナリスト連合に参加する世界のメディア(日本は朝日新聞が参加)が詳細に分析し、タックス・ヘイブン(租税回避地)に群がる世界の富裕層の実態を初めて明らかにした。

 ロシア関連では、キプロスにあるロシアの銀行がロルドゥギン氏らのインナーサークルに無担保・低金利で20億ドルの資金を貸し出した。その金はロシア国内に還流して高金利で貸し出され、差益が彼らのスイスにある口座に送られたという。

 ロルドゥギン氏はプーチン氏と同じサンクトペテルブルグの出身。若いころからプーチン氏と飲み歩き、娘の名付け親になるなど特別な関係にある。複数の大手企業の大株主でもある。

旧ソ連の崩壊時に生まれた「オリガルヒ」

Asatur Yesayants/shutterstock.com拡大Asatur Yesayants/shutterstock.com
 この一件では、プーチン氏側近や「オリガルヒ」が権力を悪用した蓄財の手口が明るみに出た。

 オリガルヒとは、旧ソ連が崩壊し、多くの国営企業が民営化された際、当時の企業長や支配人らが経営者に転身したことに始まる。その後、エリツィン大統領の再選に協力して政権との関係を深め、エネルギーや重工業はじめほとんどの産業分野を牛耳り、メディアも握った。

 プーチン政権になると、エリツィン時代のオリガルヒは追放され、代わりにプーチン氏のKGB(国家保安委員会)時代の仲間や親族などが起用された。ロルドゥギン氏もそれにつながる人物だ。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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