中国はロシア"属国化"を視野か?
2022年03月23日
ウクライナ危機は、ロシア制裁によって「ロシアvs.西側の経済総力戦」の様相を見せている。人々を豊かにする経済は今や敵を破壊する「武器」になった。
米欧日は金融・貿易システムや基軸通貨ドルを駆使した集中攻撃をロシアにしかけ、ロシアは「欧米がロシア産原油の輸入を禁止すれば、原油価格は1バレル=300ドルを超える」と恫喝。双方が「奥の手」で攻めている。
国力の違いを確認しておこう。米国のGDPはロシアの14倍。EUは中枢国だけで10数倍、日本も3.4倍あり、経済力では30対1ぐらいの比率になる。長期戦になると、この差がモノをいう。
プーチン大統領の誤算は、ウクライナ善戦などの戦闘面だけでなく、経済制裁について確かな見通しを持っていなかった点にもある。
輸出が禁止された半導体・電子部品・コンピュータ・通信機器などは、機械・家電・自動車産業などの底上げに不可欠な製品。ロシアは産業全体が競争力を失うだろう。
ロシアは金融も厳しくなる。3月16日のドル建てロシア国債の利払い(1億1700万ドル)はデフォルトを回避したが、国債の元利払いは今後も次々にやってくる。
ロシアには6400億ドルの外貨準備があるが、その47%(3000億ドル)は凍結された。大企業もドル建て債務を抱えており、ブルムバーグの分析では官民合わせて1500億ドルにのぼる。いつデフォルトが起きてもおかしくない。
ロシアの国家予算は38兆円(日本の約3分の1)だ。そこに膨大なウクライナ戦費がのしかかり、税収は制裁で落ち込む。財政は苦しくなり国民にしわ寄せが行く。
モノ不足も始まり、すでに砂糖や塩の購入制限が行われている。食品や生活必需品の物価も上昇中だ。ロシア中銀は物価抑制とルーブル防衛のために金利を9%から一気に20%に上げたが、副作用で景気は急速に冷え込むだろう。
ルーブルは以前より4割安い1ドル=100~110ルーブルに急落した。日本貿易振興会(ジェトロ)は3月上旬、ロシア貿易をする日本企業約200社を対象に、制裁でどんな影響がでているかを調査した。
回答を読むと、ロシア事業が困難になり悲鳴や困惑の声が聞かれる。
▽「輸出代金(ドル建て)をロシア企業から回収できるかどうかが一番心配だ。彼らは負担増に耐えられないのでは」(商社)
▽「ルーブルの変動がひどくて適切な販売価格を決められない。週替わりで価格を変えている」(製造業)
▽「ルーブルで預金していたので大幅に目減りした。販売価格を上げたが損失をカバーできない」(製造業)
▽「相手企業の購買力が低下している。もう注文が来ないかもしれない」(商社)
船便・航空便・トラック便の物流が大混乱している。
▽「日本からロシア向けに船便で運んでいるが、途中寄港する欧州港での『反ロシア対応』がきつい。コンテナは降ろさせてもらえず、戻されたり、留め置かれたり。やむなくロシアでの販売活動を極小化した」(製造業)
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください