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ウクライナ侵攻があらわにした日本のエネルギー危機~再エネ推進は平和のために不可欠だ

世界中で始まった資源の獲得競争に巻き込まれないために

北村俊郎 元日本原子力発電理事

日本のエネルギー自給率は11パーセント

 ロシアのウクライナ侵攻に対し、アメリカやEUなど自由主義陣営が経済制裁を始めた途端、世界の石油や天然ガスの供給に不安が生じた。これがコロナウイルス感染が一応収まり世界経済回復によるエネルギー資源価格の上昇に追い打ちをかけることになった。

 EU内でロシア産ガスの最大の消費国であるドイツは、ガス不足に備える「早期警戒」の宣言を発出した。対して日本では、エネルギー価格の急上昇は見られるものの、エネルギーそのものの確保に関して、いまひとつ危機感がないようだ。

 各国間でエネルギー自給率は大きく異なる。また、各国の発電量に占める各電源の割合はそれぞれ特徴がある。日本のエネルギー自給率は11パーセント台で、OECD35カ国中34位で韓国より低い。フランスは少資源国だが原発が多く、自給率を50パーセント台に保っている。ドイツは再生可能エネルギーと石炭が目立っている。

出典:IEA「World Energy Balances 2019」の2018年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2018年度確報値。※表内の順位はOECD35カ国中の順位出典:IEA「World Energy Balances 2019」の2018年推計値、日本のみ資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」の2018年度確報値。※表内の順位はOECD35カ国中の順位

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日本は石油で敗戦、戦後も輸入依存

 日本は江戸時代、もっぱら国産の木炭、薪をエネルギーとして使っていた。その他のエネルギーとしては水車の動力くらいなものだった。明治時代になっても、薪や木炭に加えて国内の石炭と水力発電を使用し、エネルギーはほぼ国産のもので賄っていた。しかし、西欧で蒸気機関が発明され、産業革命が起きると、先進国では石炭が主なエネルギー源として使われ、さらに自動車、船舶、飛行機などが普及すると日本も外国産の石油を消費するようになった。

 昭和に入ると、石炭に代わって石油を大量に使うようになり、アメリカなどからの輸入に依存するようになった。日中戦争が泥沼化してABCD包囲網に囲まれた日本は、アメリカが石油の輸出を禁止したため戦争に突入。結局、石油の備蓄が底をついて日本は降伏した。

 戦後は

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