世界中で始まった資源の獲得競争に巻き込まれないために
2022年04月07日
ロシアのウクライナ侵攻に対し、アメリカやEUなど自由主義陣営が経済制裁を始めた途端、世界の石油や天然ガスの供給に不安が生じた。これがコロナウイルス感染が一応収まり世界経済回復によるエネルギー資源価格の上昇に追い打ちをかけることになった。
EU内でロシア産ガスの最大の消費国であるドイツは、ガス不足に備える「早期警戒」の宣言を発出した。対して日本では、エネルギー価格の急上昇は見られるものの、エネルギーそのものの確保に関して、いまひとつ危機感がないようだ。
各国間でエネルギー自給率は大きく異なる。また、各国の発電量に占める各電源の割合はそれぞれ特徴がある。日本のエネルギー自給率は11パーセント台で、OECD35カ国中34位で韓国より低い。フランスは少資源国だが原発が多く、自給率を50パーセント台に保っている。ドイツは再生可能エネルギーと石炭が目立っている。
日本は江戸時代、もっぱら国産の木炭、薪をエネルギーとして使っていた。その他のエネルギーとしては水車の動力くらいなものだった。明治時代になっても、薪や木炭に加えて国内の石炭と水力発電を使用し、エネルギーはほぼ国産のもので賄っていた。しかし、西欧で蒸気機関が発明され、産業革命が起きると、先進国では石炭が主なエネルギー源として使われ、さらに自動車、船舶、飛行機などが普及すると日本も外国産の石油を消費するようになった。
昭和に入ると、石炭に代わって石油を大量に使うようになり、アメリカなどからの輸入に依存するようになった。日中戦争が泥沼化してABCD包囲網に囲まれた日本は、アメリカが石油の輸出を禁止したため戦争に突入。結局、石油の備蓄が底をついて日本は降伏した。
戦後は
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください