デジタル監視国家に向かう危うさ
2022年04月22日
手元にある自分のスマホをながめる。すると何もしなくてもロックが解除され、すぐにスマホが使用可能になる――最近ではマスクを着けた状態でも、持ち主の顔を正確に認識してくれる機種もあるほどだ。これはいわゆる「顔認識」あるいは「顔認証」と呼ばれる先進技術だが、スマホやPCのように、日常生活で使われる端末上でも当たり前のように見られる機能となった。
しかし顔を写した写真や動画があれば、その人物が誰かを特定できてしまうというのは、使い方次第では深刻なプライバシーの侵害になり得る。そこでいま、さまざまな形で顔認識技術を規制しようという動きが生まれている。
すでに進められているのが、既存の法制度に基づく対応だ。中でも最近各国で見られているのが、個人情報保護の文脈における顔認識規制である。
近年市場に出回っている顔認識のアプリケーションの大半が、機械学習と呼ばれる技術を活用している。これは機械にさまざまなデータ(教師データや学習データなどと呼ばれる)を与えて「学習」させることで、画像の中に顔が写っているか、その顔は誰なのかといった判断を可能にする技術だ。さらに多くの教師データを与えれば、表情から感情を読み取るといった芸当まで可能になるのだが、逆に画像内の人物が誰かを正確に特定するには、その人物が誰かという情報を含む大量の顔写真データが必要となる。
この顔認識用データの収集をめぐり、
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