ギグ・エコノミー、AI、ロボット、Web3.0……明日のための“大きな絵”
2022年05月25日
デジタル時代が到来している。岸田総理の下で「新しい資本主義」を掲げていろいろ議論が始まっているが、AIやロボットの進化、デジタル経済の発展が、社会にどのような変化をもたらし、税制や社会保障にどう影響し、とのような課題があるのかについては、ほとんど議論が行われていない。現実に生じつつある変化の全体像を概観しつつ、税制や社会保障面での課題を整理することが必要だ。
筆者は、デジタル庁の有識者会議「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」(以下、WG)の構成員を務めており、その場の議論も参考にしながら、わが国におけるデジタル時代の税制と社会保障の課題などについて整理してみたい。
デジタル経済の発達は、新たな成長機会や雇用機会を生み出し、経済の活性化をもたらす一方で、プラットフォームを通じて単発の契約に基づき労務を提供するギグ・エコノミーが発達し、更に働き方改革などによるフリーランスの増加もあり、既存の法律や制度、とりわけ税制や社会保障制度とミスマッチを起こしている。
フリーランスやギグワーカーは、これまでの伝統的自営業者と異なり、「雇用的自営業者」とカテゴライズされている。伝統的自営業者が、資本や労働力を活用して事業を行うのに対し、雇用的自営業者は、主として自らの労務を提供して所得を得ており、この点給与所得者の働き方と大きく変わるところはない。ところが労働法制上や税法上は、自営業者と労働者・給与所得者を明確に区別し、結果としてセーフティネットや税負担の公平性の問題を生じさせ、申告の手間の問題なども生じさせている。
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