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デジタル時代の税制と社会保障の構築に必要なこと

ギグ・エコノミー、AI、ロボット、Web3.0……明日のための“大きな絵”

森信茂樹 東京財団政策研究所研究主幹

 デジタル時代が到来している。岸田総理の下で「新しい資本主義」を掲げていろいろ議論が始まっているが、AIやロボットの進化、デジタル経済の発展が、社会にどのような変化をもたらし、税制や社会保障にどう影響し、とのような課題があるのかについては、ほとんど議論が行われていない。現実に生じつつある変化の全体像を概観しつつ、税制や社会保障面での課題を整理することが必要だ。

Digital transformation concept.  metamorworks拡大metamorworks/shutterstock

 筆者は、デジタル庁の有識者会議「マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」(以下、WG)の構成員を務めており、その場の議論も参考にしながら、わが国におけるデジタル時代の税制と社会保障の課題などについて整理してみたい。

新しい働き方の登場と進化

 デジタル経済の発達は、新たな成長機会や雇用機会を生み出し、経済の活性化をもたらす一方で、プラットフォームを通じて単発の契約に基づき労務を提供するギグ・エコノミーが発達し、更に働き方改革などによるフリーランスの増加もあり、既存の法律や制度、とりわけ税制や社会保障制度とミスマッチを起こしている。

 フリーランスやギグワーカーは、これまでの伝統的自営業者と異なり、「雇用的自営業者」とカテゴライズされている。伝統的自営業者が、資本や労働力を活用して事業を行うのに対し、雇用的自営業者は、主として自らの労務を提供して所得を得ており、この点給与所得者の働き方と大きく変わるところはない。ところが労働法制上や税法上は、自営業者と労働者・給与所得者を明確に区別し、結果としてセーフティネットや税負担の公平性の問題を生じさせ、申告の手間の問題なども生じさせている。

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筆者

森信茂樹

森信茂樹(もりのぶ・しげき) 東京財団政策研究所研究主幹

1950年生まれ、法学博士(租税法)。京都大学法学部を卒業後、大蔵省入省。1998年主税局総務課長、1999年大阪大学法学研究科教授、2003年東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、2005年財務総合政策研究所長、2006年財務省退官。この間東京大学法学政治学研究科客員教授、コロンビアロースクール客員研究員。06年から18年まで中央大学法科大学院教授、(一社)ジャパン・タックス・インスティチュート(japantax.jp)所長。10年から12年まで政府税制調査会特別委員。日本ペンクラブ会員。著書に、『デジタル経済と税』(日本経済新聞出版)『税で日本はよみがえる』(日本経済新聞出版)、『未来を拓くマイナンバー』(中央経済社)『消費税、常識のウソ』(朝日新書)『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)、『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)、『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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