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日銀の金融政策、転換のカギを握るのは…

来春交代の新総裁を迎える経済条件を考える

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

黒田会見拡大記者会見する黒田総裁=4月28日、東京都中央区、代表撮影

 2013年に日本銀行総裁に就任した黒田東彦氏はここ10年弱、金融緩和政策を続けてきた。日本経済の景気回復を図り、回復を持続させるために、「異次元金融緩和」と呼ばれた積極的な緩和政策路続けてきた。緩和政策は成功し、日本経済は順調に回復軌道に乗ってきたのだった。2022年6月17日に開いた金融政策決定会合で、日本銀行は大規模緩和策を持続することを決定している。同日午後3時半からの記者会見で、黒田総裁は急速な円安について、「先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするなど、経済にマイナスであり、望ましくないと考えている」として、「金融・為替市場の動向や経済物価への影響を十分注視する必要がある。」と述べている。

慣例に従えば次期日銀総裁はプロパーから

 確かに、円ドルレートは2020年には1ドル106.77円だったのが、2022年6月23日には1ドル135.45円までの円安となっている。この急速な円安の原因は、日米の金融政策の違い。アメリカの米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めに転じる一方、日本銀行は金融緩和政策を続けており、その結果、ドル高・円安が急激に進んでいるという訳なのだ。前述したように、日銀は今後とも金融緩和政策を維持するという事なので、円安は更に進むと考えられ、市場関係者は、年末には円ドルレートは1ドル146円へ、さらに2022年末には1ドル160円を超えると予測している。

 黒田東彦総裁任期は2023年4月8日まで、2013年の就任から10年、在任期間は歴代最長となるのだろう。第二次世界大戦後(1945年以来)、2期務めた総裁は、黒田総裁以外は山際正道元総裁と一万田尚登元総裁だが、2人とも就任から8年で勇退している。日本銀行総裁は通常財務省出身者と日銀プロパーが相互に務めるのが恒例となっている。例えば、財務省(旧大蔵省)出身の森永貞一郎氏(昭和49~54年)の後は日銀プロパーの前川春雄氏(昭和54~59年)、財務省出身の澄田智氏(昭和59~平成1年)の後は日銀プロパーの三重野康氏(平成1~6年)といった具合だ。

 この慣例に従えば、黒田総裁の後任は日銀プロパーという事になる。現在、市場関係者の多くは副総裁の雨宮正佳氏がなるのではないかと予測している。雨宮氏は企画局を中心にキャリアと重ねてきた日本銀行のエース。その就任を確実視する人たちは多い。ただ、前副総裁の中曽宏大和総研理事長を推す声もあり、どちらかの現・前副総裁が次期総裁に就任することになるのだろう。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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