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【参院選を前にもう一度】「古い資本主義」へ逆戻り、岸田首相にはがっかりだ

ロンドン講演で明らかになった経済政策の「変節」

小此木潔 ジャーナリスト、元上智大学教授

資産運用、格差拡大や損失の懸念も

 NISAはもともと英国の個人貯蓄制度(ISA)をモデルにしたもので、株式や投資信託の売却益や配当に一定額まで税金がかからない。それを抜本的に拡充すれば、貯蓄や投資に回すお金が十分にある富裕層を優遇する政策になりがちだ。富裕層が消費をけん引すればよいという考えを採らず、国民全体の所得が増えてこそ消費拡大につながると述べてきた岸田氏の基本姿勢は、どこに行ってしまったのか。

 国民の預貯金を投資に誘導する仕組みの創設は、証券・金融界や富裕層を潤すとしても、それで首相が目指す経済成長や格差是正につながるのかどうか、はなはだ疑問である。

 2019年に厚労省が実施した国民生活基礎調査によれば、2018年の1世帯当たり資産所得(財産所得)は15.8万円で、1世帯当たりの総所得552.3万円の2.9に過ぎない。この数字は3年前の2015年実績(18.3万円で総所得の3.4%)を下回った( 2019年国民生活基礎調査の概要=厚生労働省HP)。

 この状況をもとに資産所得の倍増を考えてみても、家計全体にとってどれほどの効果が期待できるかは疑わしい。

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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) ジャーナリスト、元上智大学教授

群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。経済部員、ニューヨーク支局員などを経て、論説委員、編集委員を務めた。2014~22年3月、上智大学教授(政策ジャーナリズム論)。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)など。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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