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お米離れを救うのは、風土を生かした「ごはん給食」から

米価下落の要因「米余り」を考える

柏木智帆 お米ライター、元神奈川新聞記者

 輸入小麦は中国の飼料用需給の増大や北米産の不作、ウクライナ侵攻の影響によって価格が上昇している。一方で、年々減少傾向だった国産米の価格は、新型コロナウイルスの影響を受けて令和3(2021)年度産米が大幅に下落した。

拡大グラフ「米の全体需給の動向」からは、消費量が一貫して落ちていることが見て取れる。農水省「米をめぐる関係資料」から
農水省「米をめぐる関係資料」

 米価が安い要因は、何と言っても「米余り」。農水省の資料によると、近年ではお米の需用量が毎年ざっくり10万トンずつ減り続けている。あまりにも大きな数字でイメージしづらいが、岐阜県全体の主食用米の生産量に値する量(令和3〈2021〉年度産は9万8900トン・農水省「作物統計調査 作況調査」)よりも多いお米が毎年食べられなくなっている……と考えると、その深刻さを感じることができる。

拡大スーパーの米売り場では「お米が大幅にお安くなっております!」と書かれたボードが張り出されていた=2022年7月、横浜市のオーケーみなとみらい店

 さらに、新型コロナウイルス感染拡大の影響はお米の消費減に追い打ちをかけた。原因は、飲食店の休業や時短営業や客数減。外食需要が減った分、家庭での需要が増えればプラスマイナスゼロ……という単純な話でもない。家庭の需要が外食需要の減少分を補填できない原因は、「飲食店の廃棄ロス分が減ったことも要因」という衝撃的な話をある米屋から聞いたが、自宅での炊飯が手間だと感じる人が多いことも理由の一つだ。

パックごはんと冷凍おむすびの人気

 最近では電子レンジなどで温めて食べられる手軽さから「パックごはん(無菌化包装米飯)」が生産量を伸ばしている。農水省の「食品産業動態調査」によると、2021年の生産量は20万6179トンで、1999年の5万3970トンから4倍近くに増えた。かつては災害時の非常食のイメージがあったが、今では日常食として買う人も珍しくない。

拡大パックご飯の生産量の推移。農水省「食品産業動態調査」から作成
農水省「食品産業動態調査」

 パックごはんは、ほとんどの商品が電子レンジで2分ほど加熱するだけで食べられる。本来は長時間の浸漬(しん・し)が必要な玄米や赤飯のパックごはん商品もあり、同様に2分ほどの加熱で食べられてしまうのだから、たしかに便利だ。

 さらに、近年では冷凍おむすびのネット販売に取り組むおむすび屋が増えている。シンプルな塩むすびから、味付けや具材に凝ったものまで、さまざまだ。商品によって違うが、これも電子レンジで1個1分30秒ほど加熱すれば食べられる。解凍しやすいように小さめサイズが多いので、軽めの朝食やおやつなどに向いている。

 しかしながら、パックごはんも冷凍おむすびも、お米を買って自宅で炊飯する場合と比べると、価格が高い。それでも、お米を計量して、洗って、浸漬して、炊くといった一連の炊飯作業から免れるならば高くないと感じる人が多いのだろう。

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筆者

柏木智帆

柏木智帆(かしわぎ・ちほ) お米ライター、元神奈川新聞記者

お米とお米文化の普及拡大を目指して取材するなか、お米農家になるために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたってお米を作りながらケータリング専門のおむすび屋を運営した。2014年秋からは田んぼを離れてフリーランスライターに。年間200種類以上の米を食し、お米の魅力や可能性を追究し続ける。
ブログ「柏木智帆のお米ときどきなんちゃら」https://chihogohan.hatenablog.com/
Instagram「Chiho Kashiwagi」https://www.instagram.com/chiho_kashiwagi

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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