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動画や音声までも対象とする「ファクトチェック自動化」は、フェイクニュースの解決策となるか

YouTubeやTikTokでニュースを知る時代に

小林啓倫 経営コンサルタント

 ヨハネス・グーテンベルクが活版印刷技術を完成させた15世紀中頃。この技術は瞬く間に広がり、欧州各国で印刷所が開設されるようになった。15世紀が終わるまでの半世紀で、およそ4万点もの出版物が刊行されたとの説もある。まだインターネットやグローバル経済のようなネットワークが存在していなかった時代に、たった数十年でまったく新しいテクノロジーがここまで普及するというのは、驚異的と言えるだろう。

 とはいえ、いまや日本だけでも、年間に出版される新刊の数はおよそ7万点にまで達している。これに新聞や雑誌、そしてテレビやラジオなどのマスメディア、さらには当然ながら、インターネットを中心としたデジタルメディアが加わるわけだ。15世紀の活版印刷技術は、宗教改革をもたらす一因となったと言われているが、それをはるかに上回る情報の洪水が現代には溢れているわけである。

拡大sdecoret/Shutterstock.com

 しかしその力は、常に正しく使われるとは限らない。最近では「フェイクニュース」という言葉がすっかり定着した感があるが、この言葉が象徴しているように、いまや「ニュース」というかつては一定の信頼を置くことのできた存在ですら、誤報や虚偽が混ざっていないかを疑ってかからなければならない時代となった。そんな中で注目が高まっているのが「ファクトチェック」である。そして、その対象はテキストだけにとどまらず、YouTubeやTikTokなどの動画にまで広がっている。


筆者

小林啓倫

小林啓倫(こばやし・あきひと) 経営コンサルタント

1973年東京都生まれ、獨協大学外国語学部卒、筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業などで活動。著書に『FinTechが変える!金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』(朝日新聞出版)、『今こそ読みたいマクルーハン』(マイナビ出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(アレックス・ペントランド著、草思社)、『データ・アナリティクス3.0』(トーマス・H・ダベンポート著、日経BP)など多数。また国内外にて、最先端技術の動向およびビジネス活用に関するセミナーを手がけている。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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