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賃上げや円安阻止が、物価高の根本的解決にならない理由

電気代高騰をめぐる“我慢”の選択

田内学 お金の向こう研究所代表

足りないのはお金ではない

 では、今回の物価高に対する不満についてはどう対処すべきだろうか。本当に、賃金を上げたり、円安を止めたりすれば問題が解決するのだろうか。

拡大Deemerwha studio/Shutterstock.com

 残念ながら、解決しない。物価高はお金の問題ではなく、モノ不足の問題だからだ。「円安とインフレの根本原因を本音で語ろう」でも書いたが、根本的な原因は世界中で起きている食料や資源、エネルギーなどの供給不足にある。

 たとえば、パンの価格上昇の原因は、世界全体の小麦の供給不足だ。お金による物価高対策は根本的な解決にはならない。まずは供給をどうやって増やすのかを考えるべきであり、それが困難であるのなら、需要を減らすことを受け入れないといけない。

 日本ですぐに小麦の生産量を増やすことはできないが、幸い日本では多くの米が生産されている。パンを我慢して米を食べれば問題は解決する。米は余っていて、その価格はこの1年で10%以上も下落している(農業協同組合新聞農水省HP)。

拡大

拡大農水省の農業物価指数から(上も)

 アメリカやヨーロッパで金利を急速に引き上げているのも、お金で問題解決を図ろうとしているのではなく、金利を上げることで需要を減らそうとしている。誰かに我慢してもらうしかないのだ。

 実際のところ、不満を言いながらも多くの人が我慢している。朝日新聞の世論調査によると、物価高に対して、40代女性の実に94%が支出の削減を考えている。その割合が60%だった40代男性は我慢が足りないのかもしれないが。

 もちろん、我慢し続けばいいという話ではない。根本的な解決を考える必要がある。考えるべきは、足りない“お金”を誰かに補わせることではないはずだ。不足している“モノ”をどうやって補うか、もしくはどうやって代替するかだ。

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筆者

田内学

田内学(たうち・まなぶ) お金の向こう研究所代表

1978年生まれ。東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。国際大学対抗プログラミングコンテスト日本代表。アジア大会入賞。 ゴールドマンサックスで金利トレーダーとして16年勤務。日銀による金利指標改革にも携わる。中央省庁、自民党や議員連盟の各種会議で財政、年金、少子化問題について提言を続ける一方、学校等ではお金の教育や社会科公共の講演を行なっている。インターネット番組「経世済民オイコノミア」では司会をつとめる。著書に『お金のむこうに人がいる』(ダイヤモンド社)、『高等学校教科書 公共』(教育図書、共著)がある。
https://note.com/mnbtauchi

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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