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世界の主要中央銀行が一致して利上げ推進を確認した理由

我が道を進む日本銀行との違い改めて鮮明に 円安は一気に加速

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 8月第4週末に行われた米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたシンポジウムで、世界の主要中央銀行のトップは、たとえ経済に多少のダメージがあろうとも利上げを貫徹する用意があるというシンプルなメッセージで一致した。

「消費者と企業に痛み」をもたらしても物価高抑制へ

パウエル拡大記者会見するFRBのジェローム・パウエル議長=2019年12月、ワシントン

 米連邦制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月26日の講演で、今後の金融政策の道筋はインフレ抑制に伴うコストとして、残念ながら消費者と企業に痛みをもたらすだろうと述べた。欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル理事は8月27日の討論会で、現実味が増しつつある欧州経済のリセッション入りが実際に起こったとしても、自分を含めECB当局者には金融引き締めを継続する以外の選択肢は殆どないとの見解を示した。

 パウエル氏に加え、シンポジウムの間にテレビインタビューに応じたアメリカ金融当局者たちは、投資家の間で見込まれている来年の政策転換について、自分たちは予想していないと強調。金利引き上げで、しばらくは金利を高い水準に据え置くと見ていると述べた。シュナーベル氏も8月27日の最後の討論会でパウエル氏と同様の見解を示した。

 シンポジウム初日の中心課題となったのは、アメリカの生産性の問題だった。前日に発表された米経済成長に関する主要な二つの指標、国内総生産(GDP)と国内総所得(GDI)が生産性に関して異なる方向性を示したためだ。4月~6月(第2四半期)の実質GDPの改定値は前月比年率0.6%減少したが、同時期の実質GDIは前月比年率1.4%増だった。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)のクリステイン・フォーブス教授は「非常に多くの事を左右する重要な要素が生産性だ。成長の抑制具合や、経済のスラック(需給の緩み)の程度を決め、金融政策で何を行う必要があるのかを決定する」と説明。「コロナ禍の後、どの水準に落ち着くか、我々には分からない」と述べている。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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