収穫と食欲の秋に覚えておきたいこと
2022年10月12日
絵本作家の故・かこさとしさんの本に『かこさとしの食べごと大発見1 ご飯 みそ汁 どんぶりめし』(農山漁村文化協会)という素晴らしい本がある。
おいしそうな天丼を喜ぶ子どもたち。天丼にのった犬と猫。そんなかわいらしい表紙とは裏腹に、表紙を開くと「政治的なおコメを親しい食品に」という想定外の見出しが目に入る。
「~財宝経済の尺度単位となり、次々と権力者により専断利用管理され、時に軍事物資となり、時に貿易摩擦の対象物となってきました」。こう書かれた文章の漢字にルビがないところを見ると、このページだけは大人向けなのだろう。
文章は続く。「このようにきわめて社会的政治的食物物資として、真の姿が曲解され続けてきたのがおコメです。この巻は、その米飯を純粋に、素直に見直し、この日本列島の風土にふさわしい食品として身近な親しい人間の食物としてゆったり楽しんでいただこうとしてできた本です~」
胸を打たれた。前回書いた「お茶碗1杯14円!? 安すぎるお米の将来を考える」のようなお米の価格や消費にまつわる話も重要だが、お米の魅力はやはりおいしさ。そして、季節は収穫の秋。普段からお米を食べ慣れている人も、お米をあまり食べない人も、新米の季節はお米を食べたくなるという人は多い。
以前、炊きたての新米にキムチをどかっとのせて食べ始め、周囲から「信じられない!」と非難を浴びていた知人がいた。新米を食べる際はまずは白飯のまま楽しみたいと思う人が多いことのあらわれだなと感じる光景だった。
そこで、今回は新米をまずは白飯で楽しむための炊飯ポイントについて書こうと思うが、以前にある媒体で炊飯手順について書いたところ、コメント欄にさまざまな人から「こうやって炊くのが一番」「こうでないとダメだ」などと、さまざまな炊飯の持論が書き込まれていた。
私が提案する炊飯手順に対する否定的なコメントもいくつかあったが、こんなにも炊飯をテーマに熱くなる人たちがいることが嬉しかった。反面、そうした熱いコメントを読みつつ、それなのにお米の消費が減る一方なのはなぜなんだという疑問も残った。
最低限の正解・不正解はありながらも、炊飯はお米や水や炊飯道具などによって左右されるなど正解は一つではない。飲食店はシビアだが、家庭で食べるぶんには「自分が食べておいしいと思う炊き方が正解」で良いのでは。
そういうわけで、以下の炊飯方法の提案は参考程度にしてもらえたら嬉しい。
ちなみに、細かい炊飯手順を書いて「読む気にもなれない」と思われてしまっては身もふたもないので、「これは絶対に必要!」というポイントだけに絞って紹介する。
推奨する炊飯方法は、土鍋等で火力か、炊飯器の場合は「早炊きモード」「高速モード」(名称は炊飯器によって違う)なので、これに限った手順であることを付け加える。
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