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「EV危機」脱出のカギは鳥取にあった

電気自動車市場に乗り遅れた日本は世界の孤児に 下請け企業はゲームチェンジに挑戦を

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 日本と欧州・米国・中国のEV(電気自動車)の販売台数に大差がついている。下のグラフは世界のメーカー別販売台数(2021年)の上位20社を示している。中国メーカー(橙)が8社、欧州(緑)も7社を占める一方、日本(赤)はトヨタ1社が辛うじて16位にいるにすぎない。

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世界のEV販売、2035年には12倍に

 欧州・中国・米国(テスラ)は温暖化対策で生じる新マーケットに早くから着目。脱炭素や再生可能エネルギーこそフロンティアだと見抜き、ガソリン車に代わるEVでゲームチェンジを狙ってきた。

 EVの世界市場は、2021年は470万台だったが、35年にはITなど異業種からも参入して12倍の5650万台に拡大する見通しだ(富士経済2022年7月報告)。

 EVは新車販売台数の57%を占め、乗用車の主役になる。日本が得意とするHV(ハイブリッド)やPHV(プラグイン・ハイブリッド)は20年代にEVに切り替わるという。

「イノベーションのジレンマ」トヨタの危機感

トヨタ社長2021年12月、トヨタ自動車の豊田章男社長は華々しくEV戦略を発表した

 予想を上回る急速な変化である。危機感を抱いたトヨタは従来のEV計画を一時停止して抜本的に練り直すという(ロイター10月24日)。

 技術革新が市場に構造的変化を起こす時、偉大な企業ほど過去の成功体験にとらわれて自己変革を起こせず滅びていく。クレイトン・クリステンセンが説く「イノベーションのジレンマ」だ。トヨタはその恐ろしい現実に直面しているように見える。

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