「世界の3分の1がマイナス成長」IMF見通しが意味すること
私たちは「より貧しく安全でない世界に移行している」のか
榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト
去る2022年11月13日、国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しについて、インフレ抑制に向けた金融引き締めや中国経済の減速、サプライチェーンの混乱、ロシアのウクライナ侵攻に伴う食料安全保障問題を背景に、先月よりも悪化しているとの見方を示した。

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「最悪の事態はこれから起こる」
IMFは先月(10月)、世界経済の2023年の成長率予測を従来の2.9%から2.7%に引き下げている。インドネシアで開催されたG20首脳会議に向けて準備されたブログで、 IMFは最近の指標は欧州を中心に見通しが悪化したことを示していると指摘した。
製造業とサービス業の活動を測る購買担当者景気指標(PMI)はG20の大半の国で弱含んでおり、経済活動は縮小傾向にあり、しかも、インフレは依然として高止まりしているとした。また、欧州のエネルギー危機が悪化すると、経済成長に深刻な打撃を与えてインフレ率が上昇、高インフレが長引くと予想以上に政策金利が引き上げられ、世界の金融環境がさらに引き締まる可能性があると説明。その結果、「脆弱な経済に対するソブリンリスク(国に対する信用リスク)が高まる」とした。
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