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次の次の日銀総裁を推理する

たすき掛け人事なら最有力候補は? 今春、副総裁として日銀入りも

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 2023年4月8日に黒田東彦日本銀行総裁は任期満了を迎える。2013年3月20日からほぼ10年。戦後の総裁の中では最長。かつて一万田尚登氏、山際正道氏が2期務めているが、いずれも8年で勇退している。次期総裁・副総裁には現副総裁の雨宮正佳氏、日銀出身で日本総合研究所理事長の翁百合氏がほぼ確実とされているが、注目されているのはもう1人の副総裁だと言われている。

金融政策決定会合の後、記者会見する日銀の黒田東彦総裁=2023年1月18日午後、東京都中央区、代表撮影記者会見する日銀の黒田東彦総裁=2023年1月、東京都中央区の日銀本店、代表撮影

 従来のパターンだと、日銀プロパーが就くであろう次期総裁の後には、黒田東彦総裁のように財務省出身者が総裁になるのだが、その総裁候補が今回副総裁に就任する可能性が高いと思われる。黒田東彦総裁は1967(昭和42)年に大蔵省(現財務省)に入省している。とすれば、雨宮氏の後に総裁に就任する財務省出身者は1975(昭和50)年前後の入省者ということになるのだろう。黒田東彦総裁は事務次官を経験しておらず、財務官経験者だったが、これは例外。通常は事務次官経験者が日銀総裁となっている。例えば、23代総裁の森永貞一郎氏、25代総裁の澄田智氏、27代総裁の松下康雄氏はいずれも事務次官経験者である。

対象となる大蔵次官経験者は3人

 黒田東彦氏を任命したのは安倍晋三元総理大臣。安倍氏が内閣官房副長官時代、黒田氏も内閣官房に勤務していた縁で、安倍氏が黒田氏を日銀総裁に任命したと言われている。次期総裁の任期は1期5年。その後に財務省出身者が任命されることになるのだろう。つまり、2028年には財務省出身者が総裁になる可能性が高いということなのだ。次期総裁の下で副総裁として日銀に入り、いずれ総裁になるのは、たぶん1975年(昭和50年)前後に入省した大蔵官僚ということになるのだろう。

 1975年に入省し、財務事務次官になっている勝栄二郎氏。1974年に入省し、財務事務次官になっているのは丹呉泰健氏、同様に1974年に入省している杉本和行氏だ。

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