日本の米食文化をアップグレードするために
2023年02月19日
数年前、中東とヨーロッパへ行ったとき、その多様な米食文化に目を見開いた。
トルコでは、ピーマンにピラフを詰めた「ビベルドルマ」、ムール貝の殻にピラフを詰めた「ミディエドルマ」といった料理を食べながら、ワインを楽しむ人たちを見た。スペインでは、パエリアやメロッソ(リゾットよりも汁気の多いお米料理)などを食べながら、ワインやシェリーを飲んでいる人たちを見た。私も同様に米料理とお酒を楽しんだ。
どの米料理もしっかりとした味付けで、むしろノンアルコールで食べるのは、酒好きにはつらい。イスラム教徒が多いヨルダンはアンマンのレストランで、ぶどうの葉でお米を包んだ「ヤプラクドルマ」を食べながら水を飲まざるを得ないことが残念でならなかった。
日本はお米が主食の国だが、和食のお米料理を食べながらお酒を飲むという人は極めて少ない。鮨を食べながらお酒を飲む人はいるが、おむすびや炊き込みごはんなどを食べながらお酒を飲む人は少数派で、白飯を食べながらお酒を飲む人はかなりの玄人だ。
一方で、中東やヨーロッパではお米は主食ではない。だからこそ、しっかりと味付けされたお米料理を食べながらお酒を飲む文化があるのかもしれないが、心からうらやましい。
飲食店でコース料理を注文すると、締めにご飯や麺が出てくるパターンが多い。さらに懐石料理の場合、前半に「おしのぎ」と呼ばれる少量のご飯物が提供されるのが一般的だ。
一方、アラカルトで注文する場合、締めのご飯を食べないという人は多いように感じる。
「ご飯を食べると太る」「お腹がいっぱいでご飯が入らない」などさまざまな理由を聞くが、前者に関しては、ご飯だけが悪者ではないだろう。後者に関しては、料理でお腹がいっぱいになってからご飯を食べるのではなく、中東やヨーロッパで見た光景のように、ご飯を食べながらお酒を飲むという味わい方をしてみてはどうだろう。炭水化物(糖分)はアルコールの分解を促す効果もあるそうで、お酒を飲むときはお米を食べれば、身体にも優しい。
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