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物書きはどうAIと付き合えば良い? ChatGPTに聞いてみた

新聞記者もChatGPTを使うべきなのか

小林啓倫 経営コンサルタント

「AIと失業」で深掘りしてみた

 あとはこの骨子に肉付けをして、いくつか事例を足せばOKだろう。いや、ここまで書けるなら、もうちょっと指示を出してChatGPT自体に記事を書かせてしまえば良いのではないか?

 「論座向けの記事には社会問題に関するテーマも良い」とChatGPTが言っていたし、ここは「AIと失業」というテーマを深掘りしてみよう。「高性能AIの普及によって失業者が増える場合にそなえて、日本政府が社会的な教育プログラムを導入するとしたら、具体的にどのような内容にすべきか」というテーマで、朝日新聞に載せられるような記事を書いてくれる?

高性能AIの普及によって、今後失業者が増加する可能性があるということは、多くの人々が認識していることでしょう。この問題に対処するために、日本政府が社会的な教育プログラムを導入することが必要とされています。そこで、今回は具体的にどのような内容が必要であるかを考えてみましょう。

まず、AIの技術とその応用に関する基礎的な教育が必要となります。これには、AIが何であり、どのように機能するか、そしてそれがどのような分野に応用されるかを学ぶことが含まれます。また、AIの利点や欠点、そしてその影響についても学ぶことが必要です。このような基礎的な知識が身につけば、AIを活用した新しいビジネスや産業に参加することができます。

次に、AIを利用した職業に必要なスキルや知識を学ぶ必要があります。これには、AIをプログラムするためのプログラミング言語の学習、AIを活用したデータ分析や機械学習の基礎的な知識、そしてAIを利用したビジネスモデルの考え方などが含まれます。このようなスキルや知識を身につけることで、AIを活用した新しい職種を生み出すことができます。

また、AIの普及によって、従来の職業においても、AIと協調する能力が求められるようになるでしょう。そのため、コミュニケーション能力や問題解決能力、そしてクリエイティブな発想力など、人間にしかできないスキルを強化することが必要です。これによって、AIと人間が共存しながら、新たな価値を生み出すことができます。

さらに、AIの普及によって、失業した人々を支援するための教育プログラムが必要となります。これには、再就職支援プログラムや、AIを活用した新しい職業に転職するための教育プログラムなどが含まれます。また、社会保障制度や税制度の見直しも必要となるでしょう。

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 待った、これでは本当にAIに記事を書かせて、後は提出するだけになってしまう。その方が良い記事になる可能性もあるが、ChatGPTと遊ぶのはこのくらいにしておこう。いずれにしても、こうした創作活動までできてしまうAIが登場し、研究者だけでなく筆者のような一般の人々にも使える時代が到来しているわけだ。

 なぜこうした高性能なAIが実現されるようになってきたのかについては、前回の記事で解説した。簡単に言ってしまうと、その背景には、極めて大規模なデータを機械に「学習」させる競争が繰り広げられていることが大きい。そのためAI開発におけるトップ争いは、一部の巨大IT企業や、その支援を受けた優秀な研究者を要するスタートアップ企業が独占しつつある。

 とはいえ彼らは、開発した高度な技術を内輪で独占するのではなく、このChatGPTのように幅広い人々が使えるアプリケーションの形で公開したり、あるいはそれを外部の企業が一種の「部品」として使用し、新たなAIアプリケーションを開発することを許可したりといった対応を行っている。

 後者の例としては、たとえば「医療ChatGPT」のような、専門知識に特化したチャットボットをつくったり、特定の企業内だけで使用できるChatGPT(したがって外部に機密情報が洩れる恐れがない)を設置したりといった取り組みが既に始まっている。

 いまChatGPTを使っていないという方々も、近い将来ChatGPT、あるいはそれに類似するAI――さまざまなコンテンツを「生成(Generate)」できるので「生成AI(Generative AI)」と呼ばれるようになっている――をベースとしたアプリケーションやサービスに触れる可能性は決して小さくない。

 そこで多くの企業が、ChatGPT時代に向け、それを積極的に活用しようという方向に舵を切っている。そしてそれは、生成AIが仕事を奪うと目される業界に属する企業も例外ではない。


筆者

小林啓倫

小林啓倫(こばやし・あきひと) 経営コンサルタント

1973年東京都生まれ、獨協大学外国語学部卒、筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBAを取得。その後外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業などで活動。著書に『FinTechが変える!金融×テクノロジーが生み出す新たなビジネス』(朝日新聞出版)、『今こそ読みたいマクルーハン』(マイナビ出版)、訳書に『ソーシャル物理学』(アレックス・ペントランド著、草思社)、『データ・アナリティクス3.0』(トーマス・H・ダベンポート著、日経BP)など多数。また国内外にて、最先端技術の動向およびビジネス活用に関するセミナーを手がけている。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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