恫喝されて萎縮したテレビ。自ら進んですり寄った新聞も
2023年03月23日
安倍晋三元首相の突然の死から8カ月。その直後から自民党と統一教会の深い関係が明らかになり、東京五輪をめぐっては贈収賄や談合が摘発された。そして今、政権によるメディア抑圧の裏側が暴露されている。
もし安倍氏が健在だったら、どれも国民の目にさらされる可能性は低かっただろう。8年間の長期政権が覆い隠していた「政治の闇」。そのフタが取れて光が差したかのようだ。ここでは政権の恫喝で萎縮したテレビと、自ら政権にすり寄った読売新聞の記事について考えてみたい。
放送法は、NHKや民間放送に対して、政治的に公平であることを求めている。従来は「放送事業者の番組全体をみて判断する」という解釈だったが、2015年5月、高市総務相が国会で「一つの番組のみでも判断することがある」という新解釈を述べ、情勢が一変した。
高市氏は翌16年には「停波(電波停止)」にも触れた。目障りな番組は根絶するという意図がうかがえ、テレビ局を恫喝する効果は大きかった。
このあたりからNHKや民放局で安倍政権に直言するキャスターやコメンテーターが次々降板。政権寄りの人々に入れ替わっていった。
NHKの「クローズアップ現代」では、23年間キャスターを務めた国谷裕子氏の降板が発表された(2015年12月)。出演した菅官房長官が国谷氏から集団的自衛権について繰り返し質問されて激怒したことがあった。
官邸・自民党が一体化した番組監視という巨大な政治圧力を感じ、テレビ局は重苦しい空気の中で政権にすり寄らざるを得なかったのだ。
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