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日銀は7月までに金融引き締めへ転じるか

エコノミストの過半数が予測という調査結果も 欠かせない景気への影響の分析

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 日本銀行は2022年12月末、それまでの大規模な金融緩和策の修正を決め、それまで0.25%程度に抑えてきた長期金利の上限を0.5%程度に引き上げた。この日銀による金利上昇の許容は、市場では金融緩和からの事実上の転換にあたると受け止められ、円高・ドル安が加速した。

日銀の金融緩和縮小の決定を受け円高が急速に進んだ=2022年12月20日午後4時21分、東京都港区の外為どっとコム、福留庸友撮影日銀の金融緩和縮小の決定を受け円高が急速に進んだ=2022年12月20日午後4時21分、東京都港区の外為どっとコム

 2022年10月には1ドル147.01円だった円ドルレートは、その後円高に推移して、2023年2月には1ドル132.59円(いずれも月間の平均レート)までになった。おそらく今後も穏やかに円高基調が続いて、2023年末には1ドル130円を切る可能性もあるのだろう。

「出口」の模索が課題となる新総裁

 日本銀行は4月9日に植田和男氏が総裁に就任する。戦後はじめての学者出身の総裁。ただ、副総裁には前金融庁長官の氷見野良三氏と日銀理事の内田眞一氏が就任する。学者総裁の脇を財務省・日銀のベテランで固めるという布陣だ。

衆院議院運営委員会で、答弁する日銀総裁候補の植田和男氏=2023年2月24日午前11時1分、国会内、上田幸一撮影衆院議院運営委員会で答弁する日銀次期総裁の植田和男氏=2023年2月24日

 新総裁に就任する植田氏は、これまでの路線を受け継ぎ、当面は大規模緩和を継続する姿勢を示している。また、植田氏は任期の5年間を「積年の課題であった物価安定達成というミッションの総仕上げを行う5年間」と位置づけ、今の金融緩和策を平時の姿に戻す「出口」も模索していくことになる。だが、その実現にはなお時間が掛かると述べている。また、現在の金融緩和の枠組みについて「さまざまな副作用を生じさせている面は否定できないと思う」とも指摘している。

 日銀の現総裁黒田東彦氏は3月28日の参院予算委員会で、次期総裁の植田和男氏について「理論と実務の両面で日銀をリードしていただけると考えている」と述べた。「昔から個人的にもよく存じ上げており、日本を代表する経済学者であるとともに中央銀行の実務にも精通している」と語った。国会は3月10日に次期総裁に植田氏を起用する人事案を承認した。黒田総裁は「総裁を引き継ぐにあたって必要な事項をきちんとお話しするつもりだ」と述べている。

エコノミストは7月までの政策転換を予測

 ブルームバーグがエコノミスト43人を対象に3月6日~11日に実施した調査によると、日銀の次の政策対応は全員が「金融引締め」と回答。時期は7月までの3会合で合計52%と過半数に達した。

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