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ロシア「変わらぬ日常」の陰で進む中国支配

人民元や中国車のシェア急伸。ロシア経済の自立を危惧する主張も台頭

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 ロシアのウクライナ侵攻から1年2カ月たった。ロシア国内では侵攻直後、スーパー店頭でモノ不足が起き、物価も高騰したが、その後は落ち着きを見せている。欧米ブランド商品の多くは姿を消したが、代わりにロシア製の類似品が並んでいる。

モノが豊富にあるモスクワのスーパー。リンゴやトマト、肉などが並び、買い物客でにぎわっている=2023年2月18日モノが豊富にあるモスクワのスーパー。リンゴやトマト、肉などが並び、買い物客でにぎわっているが……=2023年2月

「変わらぬ日常」は表面的な見方

 IMF(国際通貨基金)が昨年7月時点で予測したロシアの経済成長率は、2022年がマイナス6.5%、23年はマイナス3.5%だった。それが今年1月時点ではそれぞれマイナス2.2%とプラス0.3%に改善した。

 ロシアは海外に保有していた外貨準備6400億ドル(84兆円)の半分を凍結された。しかし、中央銀行は9%だった金利を一時20%に上げるなどしてルーブルの暴落を防いだ。今は侵攻前の水準(1ドル=約80ルーブル)を維持している。

 こうしたデータを元に、「ロシアは制裁の打撃を最小限に抑えている」「侵攻前と変わらない日常が続いている」といった報道が見られる。

 しかし、それは表面的な見方である。表側が正常に見える分、ロシア経済の内部には歪みがたまり、劣化の度合いを深めている。

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