最近、知人からミニ四駆をもらった夫は、ミニ四駆にはまり出した。「ミニ四駆ステーション」となっている近所の「コジマ×ビックカメラ」にミニ四駆サーキットがあるそうで、夫の要望を受けて休日に家族で行ってみた。店内の一角にミニ四駆のコースがあり、子どもだけでなく大人たちもミニ四駆を走らせたり、ミニ四駆をいじったりしている。

「ミニ四駆ステーション」となっている福島県会津若松市「コジマ×ビックカメラ」内にあるミニ四駆サーキット=筆者撮影
夫が陳列されているパーツを見ていると、突然「ロードスピリット?」と少年が声をかけてきた。「そうだよ、かっこいいだろう?」と夫。すると、少年は「VZシャーシでしょ?」「初心者ならまずファーストトライパーツ、これね」と言いながら、パーツを取ってきてくれた。さらに、「あとは、マスダンね。とりあえず、これにしたら?」と言って、またパーツを取ってきてくれた。
その後、この少年の兄とみられる少年も「モーターだとおすすめはこれですよ」と声をかけてくれた。
なんて温かな優しい世界なんだろうと、私も夫も感激した。
聞いてもいないのに教えてくれるのだから、きっと困ったときでも教えてくれるだろう。
こういうコミュニティーがお米にもあったらいいのに……と感じた。
スペイン・バルセロナのお米売り場で
ところが、思い返すと……あった。一度だけ、過去に見知らぬ人から親切にお米のことを教えてもらった。
5年前、スペインはバルセロナ。現地のお米を探るべく、夫と一緒にレストランやスーパーをはしごしていた。スーパーのお米売り場であれこれお米を物色していると、現地の女性が「このお米がいいわよ」と身振りで教えてくれた。そのお米は「レドンド」という種類だった。英語と身振りでやり取りした結果、このお米は日本でも人気の「ボンバー」という種類に似ているけど、ボンバーよりも安価なのだということだった。

スペイン・バルセロナにあるスーパーのお米売り場=筆者撮影
帰国後、偶然にもスペイン米と日本米で作ったおむすびを楽しむ「United Rice Ball」というイベントでお米の選定を担当することになり、私はスペイン米にこの女性が教えてくれたレドンドを採用した。決め手はアルデンテ(お米に芯を少し残した状態)の作りやすさと価格。女性のおかげでスペイン米への愛着は倍になり、今でもあのやり取りを思い起こすと温かい気持ちになる。
一方で、日本ではこうして誰かが突然話しかけてきて親切に教えてくれたという経験がこれまでにない。あったのかもしれないけど、覚えていない。たとえ誰かが話しかけてくれても、ちょっと警戒してしまうような気もする。反対に、私も誰かに突然話しかけてお米のおすすめを教えようとしたことはないし、そんなことをしたら鬱陶しがられたり怪しがられたりする気がして、なかなか話しかけようと思えない。