2011年10月04日
――物語はといえば、サブカル好きで恋愛下手な31歳草食系男子の藤本幸世(森山未來)の前に、ひょんなことから魅力的な3人の女子が現われ、恋の騒動を繰りひろげるというものだが、この映画の最大の魅力は、何といっても、超のつくほど快調なテンポの語り口にある。
しかも、プロットがたえずエエッ!? という意外な方向に急転するので、退屈しているヒマなどない。そして、そうしたスムーズなのに意表をつく場面展開を彩るのが、工夫をこらしたディテールの数々だ。
すなわち、時に登場人物たちの心情をセリフ以上に切なく語ったりもする、新旧様々なJ-POPの挿入、それらの曲に合わせて何度か現われるカラオケモニター風のテロップ画面(むろん一種の字幕)、Baby cruising Loveが流れ街頭にPerfumeが突如出現して幸世や周囲の雑踏にいた人々と共に踊りだす大ミュージカル・シーン(まったくもって『モテキ』の肝はポップスなのだが、ひとつの曲で複数の場面をつなぐ、いわゆる音楽ブリッジもたくみに使われる)。
さらに、幸世の思いを表すナレーション/モノローグ(独白)の、やや過剰なまでの多用や、ヒロインのみゆき(長澤まさみ)と幸世が出会うツールであり、その他さまざまに劇中で使われる小道具であるi-Phoneのツイッター画面、あるいは幸世の幻想シーン(幸世が棺桶に横たわった死後の世界や、長澤まさみ、麻生久美子らを前景にして、100人くらいの女の子たちが白いハッピの下に白ビキニで踊りまくるゴージャスな女神輿)、などなど……。
そして、決定的なアクションを起こすのが、ほとんど
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