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内容に問題はないのに、う、うへえ……となったこの本

青木るえか エッセイスト

 今週は本の話です。

 本屋で本を買う時に考えることは何ですか?  

 私はとにかく、「人に見られて恥ずかしい本を買ってはいけない」だ。

 いや、誰も見てませんて。そんなことはわかっている。しかし、私が本屋でバイトをしようとした時(本好きな人なら誰もが一度は考えるだろう)、まず考えたのは「人が買う本を見て感心したりバカにしたりするに違いない」ということだった。私が考えるぐらいだから、本屋のレジでつまらなそうにしてるあのお姉さんも、心の中で「このおばはんこんな本、堂々とレジに出しちゃって。恥ってもんを知らないのかしら」とか思っている、としか思えないのである。

 エロ本を買うのも恥ずかしいが、エロじゃない本なのに恥を伴うものがあって、そっちのほうがもっと恥ずかしい。最近も『AKB48総選挙に学ぶ心をつかむ技術』なんて本を買っちゃって、「こんな本を買う私はバカです」と言っているような本ではないか。バカは事実としても、人にバカがバレたくない。きっと心の底で「買う本で人を判断しようと待ち構えている(に違いない)に「自分はバカです」とわざわざ言いたくない。たとえ二度とその店に行かず、レジのお姉さんと一生会わないとしても、だ。……というようなことは本好きの自意識過剰な方なら誰でも考えることでしょう。

 では、このような恥ずかしい本を出すほうはどうなのだ? というのが今回のテーマです。

 上記の『AKB48総選挙に学ぶ~』は、いかにもな便乗商売本だから、わかりやすい。書いてる人は、AKBの名前で人を釣ろうという、「見世物小屋の大イタチ=大きな板に血がちょっとついてる」的タイトルだということは承知の上だろう。世の中、本に限らずこういうのは溢れている。ちょっとは内心忸怩たるものがあっても「カネのためだし、しょうがない」と割り切る。この割り切りが、人間を徐々に腐敗させていくのだが……。

 今回取り上げたいのはそういう、わかりやすい商売本の話ではない。

 本屋に行って、その書名を見た時にちょっと衝撃を受けた。

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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