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島宇宙に沈溺する「サブカル糞野郎」の痛さを描いた映画『モテキ』

松谷創一郎 ライター、リサーチャー

 「さっきから俺のサブカルトーク、全部打ち返してくれてんじゃん! スペック高過ぎ!」

 これは、現在大ヒットしている大根仁監督の映画『モテキ』のワンシーンだ。

 主人公はアラサーの青年・藤本幸世(森山未來)。モテない人生を歩んできた彼が、突如としてモテるようになる“モテ期(=モテキ)”が描かれる作品だ。この発言は、幸世が知り合ったみゆき(長澤まさみ)と飲んでいるときのモノローグだ。

 この作品の特徴は、マンガや音楽などサブカルアイコンが、作中に多数登場するところにもある。たとえば冒頭、幸世は音楽やマンガなどを扱うカルチャーサイト「ナタリー」へ就職面接で赴くが、そのとき着ているのは、故・忌野清志郎が率いたザ・タイマーズのTシャツだ。ヒロインのみゆきとはじめて会うのも、下北沢の本屋&雑貨屋チェーン・ヴィレッジヴァンガードの前だ。そして、カルチャー全般を扱う雑誌『EYESCREAM』の編集者であるみゆきと、幸世はマンガ『進撃の巨人』などの固有名詞で盛り上がる。美人で巨乳なだけでなく、サブカル話についてくるみゆきは、彼にとって最高の存在と見なされる。

 そんな幸世の姿に、あるマンガの登場人物がオーバーラップする。岡崎京子のマンガ

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筆者

松谷創一郎

松谷創一郎(まつたに・そういちろう) ライター、リサーチャー

ライター、リサーチャー。1974年生まれ。商業誌から社会学論文、企業PR誌まで幅広く執筆し、国内外各種企業のマーケティングリサーチも手がける。得意分野は、映画やマンガ、ファッションなどカルチャー全般、流行や社会現象分析、社会調査、映画やマンガ、テレビなどコンテンツビジネス業界について。著書に『SMAPはなぜ解散したのか』(SB新書)、『ギャルと不思議ちゃん論――女の子たちの三十年戦争』(原書房)。共著 に『どこか〈問題化〉される若者たち』(羽淵一代編、恒星社厚生閣)、『文化社会学の視座――のめりこむメディア文化とそこにある日常の文化』(南田勝也、辻泉編、ミネルヴァ書房)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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