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追憶の「ウルトラQ」――ガラモンは昔から真っ赤だった

小田嶋隆 小田嶋隆(コラムニスト)

 「ウルトラQ」は、「ウルトラC」を踏まえている。はずだ。「ウルトラC」は、1964年の東京オリンピックを契機に流行した言葉で、もともとは、体操競技における最高難度の演技(←C難度)を超えた「超絶技巧」ぐらいなところを意味する単語だった。それが全国的な流行語になったわけだ。

 ぜひ注意してほしいのは、当時は、流行語の蔓延度がいまとは違っていたという点だ。ひとたび流行した言葉は、日本中の人間が一日に何回も使うほど深く浸透した。しかもその流行は何年も続いたのである。流行歌も同様。ヒット曲と呼ばれる歌は、丸一年、どこに行ってもかかっていた。だから、美空ひばりの「柔」ぐらいの歌になると、小学生からおばあちゃんまで、全世代の日本人がソラで歌えるほど人口に膾炙(かいしゃ)していたのである――というこれらの私の思い出話は、話半分で聞いてもらった方が良いかもしれない。

 というのも、私の中にある昭和の記憶には、かなりの度合いで虚偽や誇張が含まれているからだ。最近になって、そのことが次々と判明しつつあるのだ。ウィキペディアのせいだ。あいつは私の古い記憶に混入している細かい錯誤を、執拗に指摘し、訂正を迫り、そうすることで私の幼年期を台無しにしようとしている。

拡大ヒロインの新聞記者・江戸川由利子を演じた桜井浩子さんと怪獣ガラモン=2011年6月

 実はウルトラQがモノクロ放送であったという事実も、最近になってウィキペディア経由で知った。

「えっ?」

 私はカラーで覚えている。ガラモンは真っ赤だったし、カネゴンは茶色だった。スダールは暗赤色でケムール人は不気味な緑色の身体で歩いていた。私は確かに見た。絶対に、だ。どういうふうに考えたらオレのあいつらがねずみ色の濃淡だけでできた水墨怪獣だったなんてことを認めることができる?

 推察するに、私は、

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筆者

小田嶋隆

小田嶋隆(おだじま・たかし) 小田嶋隆(コラムニスト)

1956年、東京・赤羽生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、食品メーカーに就職するも8ヶ月で退社。その後、テクニカルライターなどを経て、現在は隠者系コラムニストとして活躍中。さいたまスタジアムに足繁く通う筋金入りの浦和レッズ・ファン。著書に『イン・ヒズ・オウン・サイトネット――巌窟王の電脳日記ワールド』(朝日新聞出版)、『サッカーの上の雲――オダジマタカシサッカ~コラム大全』(駒草出版)、『テレビ救急箱』(中公新書ラクレ)などがある。現在、日経ビジネスオンラインで連載中のコラム「ア・ピース・オブ警句」をまとめたコラム集『地雷を踏む勇気――人生のとるにたらない警句』(生きる技術!叢書、技術評論社)が好評発売中。近刊に『その「正義」があぶない。』(日経BP社)。

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