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週刊文春と週刊新潮の「反橋下徹キャンペーン」は誰が喜ぶ?

青木るえか エッセイスト

 私は橋下徹が嫌いなので、反橋下は大歓迎である。嫌いなやつの悪口を聞くのはいい気持ちである。

 しかしだ。

 今回の反橋下キャンペーンにおける、橋下をダメとするために依って立つものが「出自問題」であって、橋下の父が暴力団員でガス管くわえて自殺した、ということと、橋下が被差別部落出身である、ということである。

 ……そのことに何の問題が。

大阪府知事を退任し、公用車に乗り込む橋下徹氏=10月31日

 私なんかはそんな話を聞いたら好きになりこそすれ、「エーッ、ヤダわ~、今まで応援してたけど橋下さん、ちょっとヤメとこうかしら」なんてことは絶対にありえない。私はいまだに橋下を嫌っているけれど、出自問題なんか持ち出されて批判されてると、嫌いになっちゃ悪いような気がしてきてしまい、たいへん迷惑なのだ。

 嫌いになっちゃ悪い、というのは「不幸な生い立ちに遠慮してる」ということではないし部落解放同盟に気を遣っているわけでもない(橋下さんは反解同っぽいが)。いろいろタイヘンだったろうに、その地位を得たってのは、少なくとも私なんかよりは努力したのか、と素直に感心してしまうからだ。

 フジテレビが韓流をゴリ押ししてる、とかいう騒ぎの時、「本当の悪者は電通だ! 電通の社長は在日だ!」とか言われていた。そんな話はふつう「へえー、在日となるとどんな家庭でも日本の日本人よりは面倒なことが多かっただろうに、電通の社長になるなんてえらいなー」と思った。そんなふうに思っちゃうのが「在日にしてやられてる」ってことなのか、反フジテレビ反電通反韓流の人にとっては。

 しかしまあ、橋下はイヤなヤツなので、あらゆる情報を知った上で、やりづらいなーとくじけそうになる気持ちにムチ打って、キライを貫いている。

 ここで、最初に書いた「この反橋下キャンペーンで喜ぶのは誰かが謎」という問題に立ち戻ってくる。

 といいますのも、

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