2011年11月24日
あれから1カ月以上。今では、何の期待もしていなかった後継の「カーネーション」にすっかりはまっている。しかし、このドラマ、何から何まで「おひさま」の逆だといっていい。
朝ドラの王道を行くような「おひさま」に対し、「カーネーション」は実に挑戦的、挑発的だ。まず主演女優。前者の井上真央は、小柄で丸顔という、樫山文枝、大竹しのぶに連なる朝ドラの典型。前向きで素直なヒロイン像がピタリとはまった。
対して、後者の尾野真千子は、長身でどちらかといえば般若顔。河瀬直美監督の映画『萌の朱雀』など、映画を中心に活躍してきた。左のこめかみのホクロも目につくし、ぱっと見、井上真央のように明るく可愛いわけでもない。今をときめく芦田愛菜ちゃんが驚異の演技力を初めて本格的に示した昨年のテレビドラマ「mother」で、なんと、愛菜ちゃんを虐待する若い母親を演じていたのだ。
その記憶がまだ残るなか、朝ドラのヒロインに起用するなんて、まことに挑戦的だ。しかも今回のヒロイン小原糸子は「このボケナス。何ぬかしとんじゃい」といった感じで、しゃべる。朝ドラ史上、最も口汚いヒロインだろう。いくら岸和田が舞台とはいえ、これはすごい。
そして主題歌は、どうみても朝じゃなくて夜のイメージの椎名林檎が歌う。
画面も、朝ドラの王道らしく明るさに満ちた「おひさま」に対し(若尾文子のシーンは明るすぎたが)、「カーネーション」は「ハゲタカ」や「龍馬伝」のように暗い。朝ドラなのに、なんて暗いのでしょう(ま、今では奥行きのある画面なくしては「カーネーション」は成立しないと思えるわけですが)。
とういわけで、朝ドラの王道からはずれまくったカーネーションに、当初は何の期待もしていなかった。
しかし尾野が登場する2週目あたりから、がぜん面白くなる。
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください