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どこか明るいものが漂うナベツネさん

青木るえか エッセイスト

 こっちでは大丈夫でも朝日新聞本紙は「ナベツネ」と書いちゃいけないんだそうだ。渡辺恒雄氏、渡辺氏、渡辺さん、あるいは有名人固有名詞呼び捨ての法則により渡辺恒雄、そう書かないといけない。ナベツネ呼ばわりは禁止である。

 やはり本紙だとナベツネご本人の目に触れる可能性が高いからか(=こっちなんか歯牙にもかけられてないってことだ)。

拡大渡辺恒雄氏

 私はてっきり、ナベツネ氏は「ナベツネ」と言われることについて「しょうがねえなオレも人気あって(と、苦笑いをしてみせる。そこで側近がドッとウケる。ナベツネさんかっかっかっと笑う)」のスタンスかと思っていたら、どうもそうではないらしい。

 いや、ナベツネさんの性格からいうと「オレはナベツネと呼ばれたって何とも思わん。そのへんの赤新聞がナベツネでもナベカマでも何と言ってもオレは何も言わんよ。だが、天下の朝日新聞(こういう時だけ天下とかつける)たるもの、読売の主筆をナベツネと呼んで面白がるなど、情けねえ」という論理かもしれない。

 ああ、それにしても、私はさいきん、渡辺恒雄氏のことばっか考えているようだ。橋下のことも考えるが、あっちは考えているといろいろと陰惨な気持ちになるので、同じイヤな気持ちでもナベツネさんのほうは、明るくハラをたてられるからまだいい。

 ナベツネさんという人に、どこか明るいものが漂う(と私が感じる)のは、「マントとクスリは逆から読んだらダメだ」という名言を聞いて以来である。

 巨人の外国人選手マントがぜんっぜん活躍しないので立腹しての暴言で、マントを逆に読むとトンマという……こういうものの解説をするほどむなしいことはないが……そこまではわかるとして、ここで唐突に「クスリ」が出てきたのがよくわからない。クスリの逆はリスクだが、どうもトンマと並ぶ言葉としてしっくりこない。ここは「マントとコンマ」とか「マントとカバ」とかのほうが自然だ。

 しかし「マントとクスリ」のビミョーなしっくりこなさこそ笑いどころで、この手のヘンなことを言うおっさんはけっこう珍しいから(ふつうはもっとベタに、つまらなくまとめてしまうもんです)、マントとクスリ発言についてはナベツネを評価している。といって、「オレは面白いことが言える」とか思ってもらっては困るが。

 先日、テレビの『めちゃイケ』を見ていたら「オカツネ会長」というのが出てきた。 ・・・ログインして読む
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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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