鷲尾賢也
2011年12月13日
婦人雑誌のことを知っているものはもう古老に近いだろうが、後者の場合は、つい10年余前のことである。おそるべき早さで、店頭が変貌している。
年末年初の休暇用読書のために、「このミステリーがすごい!」(宝島社)や「週刊文春ミステリーベスト10」(文藝春秋)などが、この時期に発表される。今年は、国内篇が高野和明『ジェノサイド』(角川書店)、翻訳篇がデイヴィッド・ゴードン『二流小説家』(早川書房)がトップで、それぞれ「ランキング三冠王」といったポップとともに山積みされている。しかし、心なしかやや盛り上がりに欠けているような印象がしてならない。
いつもなら好奇心にかられ、「ミステリーにもご無沙汰だなあ」などといいながら、一冊ぐらいは手にとるのだが、なんだか気がすすまない。なぜなのであろうか。
心のどこかで「3・11」以後、とりわけ原発事故が収束していない現実が、そういう選択を躊躇させているのかもしれない。多分、私ひとりではないだろう。2011年の出版状況は「3・11」抜きには語れないところがある。
今年も雑誌売り上げの凋落傾向は止まらなかった。むしろその度合いは強くなったようだ。広告収入の下落はいうまでもない。原発事故報道などにおけるメディア不信、あるいはやらせ電力会社のメール問題なども、陰に陽に影響しているのだろう。娯楽雑誌などを読んでいては、申し訳ないという気分もゼロとはいえない。松本清張の名作『点と線』を連載した伝統のある「旅」(新潮社)が休刊になったのも、「旅行需要の落ち込み」といわれている。
雑誌に比べ書籍は、それほど変化なくほぼ横ばいらしい。しかし、
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