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【2011年 アイドルイベント ベスト5】戦国時代を駆け抜けたももクロ、モー娘、後藤真希…

鈴木京一 朝日新聞文化くらし編集部ラジオ・テレビ担当部長

 「アイドル戦国時代」という言葉が定着した今年は、おそらく人類史上もっともアイドルイベントが多かった年ではなかったかと思う。週末ともなれば、会場から会場へとはしごすることも。そんな中から印象的だったライブを挙げる。

1位)ももいろクローバーZ(12月25日、さいたまスーパーアリーナ)

 昨年の今頃のライブは1000人規模だったが、1年で1万人の会場を埋めるまでになった。客席には家族連れやカップルもみられた。ポストAKBの一番手と言っていいと思う。

ももいろクローバー(現在は一人脱退して「ももいろクローバーZ」)=2011年4月、東京・中野サンプラザ

 ももクロのライブはマネジャーの趣味によるのだろうか、プロレス的演出がなされるのが常だ。この日も、なぜか実況中継席が設けられ、南海キャンディーズの山里亮太やバナナマンがすわった。ももクロのメンバーとマネジャーが怒鳴りあう場面も。かつての「ハッスル」(和泉元彌やインリンがレスラーになったアレだ)の興行を連想させた。

 正直言って私はこれまで、ももクロのプロレス演出は好きではなかったのだが、この日はプロレス的ギミックが「大人たちの仕掛けに抗する少女たち」という構図につながり、ももクロ当人たちの全力感をうまく引き出せたように思う。口パクを排し、おそらく全曲が生歌だったことも大きかったと思う。もちろんモーニング娘。等のハロー!プロジェクト系などと比べると歌は下手なのだが、一生懸命さが客を感動させるのだろう。

 3時間半にわたるライブの最後は約100人の合唱団が登場、さらにマーティー・フリードマンが登場して彼のギターソロでももクロが歌うなど、私が今年見たアイドルのライブの中では、もっとも手が込んでいたと思う。2012年4月には横浜アリーナで2日間公演をするという。

2位)モーニング娘。(9月30日、日本武道館)

 約10年にわたってモー娘に在籍した高橋愛の卒業公演。高橋はモー娘全盛期の2001年に加入した。その後モー娘は「紅白」に落選するなど低迷、コンサート会場も小さくなっていった。その一方でパフォーマンスに磨きをかけ、アイドル冬の時代に独自の進化を遂げてきた。アイドル論壇誌「BUBKA」は高橋の歌唱を「梶芽衣子の『怨み節』を思わせる」と評している。

 この日は久しぶりの武道館。アルバム曲中心の構成は疑問だったが、アイドルの域を超える気迫のステージだったと言っていいだろう。客席には多くのアイドルが目につき、彼女たちにとっても高橋は一つの象徴だったことが伺えた。卒業後の初仕事は帝国劇場でのミュージカル「ダンス・オブ・ヴァンパイア」で、ヒロイン・サラ役(知念里奈とのダブルキャスト)を演じた。

3位)後藤真希(12月4日、幕張イベントホール)

 モー娘を擁するハロー!プロジェクトからエイベックスに移籍した後藤の休業前最後のライブ。2002年にモー娘を卒業した後藤は08年にエイベックスに移籍した。アイドル集団のハロプロと後藤の「路線の違い」があったものと思われる。しかし移籍後も目立った活動がないまま、理由がはっきりしない休業宣言。この日は移籍後最初で(もしかしたら最後の)ソロライブとなった。

後藤真希=2011年8月6日、福岡市・海の中道海浜公園

 エイベックス移籍後の曲が中心だったが、客席が盛り上がったのはハロプロ時代の曲だった。突然オタ芸大会になるのだ。

 一番盛り上がったのはアンコール。中澤裕子、安倍なつみらモー娘OGによる「ドリームモーニング娘」がサプライズで登場、後藤のデビュー曲でもある「LOVEマシーン」を一緒に歌ったときだった。何年ぶりのことだろう。こんな光景をもう一度見られるとは思わなかった。モー娘ではソロパートは歴代様々なメンバーにより歌い継がれてきたが、この日は「後藤のパートを後藤が歌っている」感慨があった。

 かつての仲間と対面して、後藤は「まだ居場所がちゃんとある」ともらした。結局エイベックスに居場所はなかったのだろうか。

 モー娘は、1期メンバーの福田明日香もインディーズのユニットで芸能活動を再開した。そのほか中澤裕子の婚約が報じられるなど(本人は否定)、高橋の卒業とともに節目の年だったと思う。

4位)

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