2011年12月30日
(1)『ヒアアフター』(クリント・イーストウッド)
役者たちも、ストーリーテリングも、色彩や画面構成も、何もかもがケタはずれに素晴らしい奇跡的な超傑作。今後人類はこれを超える映画を撮れるだろうか?(11月7日付の記事参照)
ともあれ、2012年1月28日公開予定のイーストウッドの新作、『J・エドガー』への期待が高まる。
(以下、順不同)
『歴史は女で作られる』(マックス・オフュルス、完全復刻版、公開中)
デジタル・リマスター版として復活した、1955年の“呪われた傑作”。マルティーヌ・キャロルふんする“運命の女”、ローラ・モンテスが自らの数奇な人生をサーカスで見世物にする、という奇想天外な物語だが、なにより、ワイドスクリーンにはじける毒々しい極彩色、バロック的な舞台装置の数々に目が釘づけになる。なんという怪物的な映画だろう(12月12日付の記事参照)。
『引き裂かれた女』(クロード・シャブロル)
フランスのヌーヴェル・ヴァーグ出身で、2010年惜しくも他界したシャブロル晩年(2007)の傑作。初老の道楽者の作家と、富豪の放蕩息子のあいだで“引き裂かれた”ヒロインの波乱万丈の物語を、シャブロルは洗練の極致ともいうべき精妙なタッチで描いている。ブルジョワの背徳をめぐる、偏愛と嫌悪というシャブロルの相反感情が、いわば集大成的に表現されている点も興味深い。また、キャロリーヌ・シオルふんする、息子をめぐってヒロインと三角関係になるヒッチコック的<恐母>の造形にも目を見張る。なお6月25日から7月24日まで、東京日仏学院などで開催された大規模なシャブロル特集も貴重な企画だった。
『風にそよぐ草』(アラン・レネ、公開中)
86歳のレネが撮り上げた破天荒なラブコメ。この映画の優雅で奇っ怪な面白さについては、12月9日付の記事を参照されたい。
『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(ブラッド・バード、公開中)
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