2012年01月11日
4人バンドだが、新春らしく豪華にホーンセクションとストリングスも入り、元々ゆるいバンドのノリが、いい意味でルーズな、ファンキーミュージックとなっておった。ボーカルの宮本浩次は、ポップな楽曲の中に、前衛の牙がときおり光って、常に増してかっこよかった。浄福という気持ちがしてくる。
楽しく聴いていたのだが、ふと気になったのは、前にいた客がカップルで、しかもときおり、男のほうが女の肩に頭をもたせかけたりして、甘えている。
いや、暗闇で何をしたってぜんぜん構わないのだが、「気になった」のは、エレカシのライブにカップルで来るかぁ? エレカシデートは成立するか、ということなのだ。
エレカシは、今でこそポップなヒット曲も多数あるが、デビュー当初はとてもアバンギャルドなことをやっていて、その本質は変わっていない。サウンドは硬質、歌詞は硬派、どっちかというと野郎が好きそうなタイプのバンドだと思う。
でも、客層は圧倒的に女性が多い。1人連れ、もしくは女の子同士が連れ立って見に来ているのが大多数。たまに男1人というのがいて、カップルは1%を切る(目算)。
エレカシの唯一の欠点がその理由だと思うのだが、宮本がかっこよすぎるのだ。眉目秀麗、ロックンローラーな細い体形、ステージでのしゃべりも客に媚びず、そのくせユーモラス、サウンドは王道ロックなんだけど果敢に冒険もしていて、身を切る男気の歌詞も馬鹿マッチョにならないのは、もはや現代詩レベルだから。
つまり、見に来ている男どもは、完全に、どこをとっても負けている。宮本に勝負しているつもりもなかろうが。これじゃあ、女の子を誘う気になれない。だって、コンサートのあと、飲みにいっても、きっと、女の子はしらけんだろうなと想像するから。宮本にくらべて、ナスの古漬けかなんかで一杯飲んでる目の前のこの男って、いったい同じ生物なのか、と。
ましてや、ライブ中に肩に頭もたせかけられたら、自分が女の子だったら「ちょっと向こうに行ってて」と払いのけると思う。
では、だれのライブだったらカップルで見に行ってもいいか――つまらんことを考えてしまった。
エリック・クラプトン? OKだろう。名うてのプレイボーイだが、いまや好々爺だ。彼女を取られる心配はないはず。ボブ・ディラン、ニール・ヤングともに○。ソニック・ユースは○だが、ニルヴァーナは×。サーストン・ムーアとカート・コバーンの外見で、サーストンにはまだ勝負できるとうぬぼれる(できないって)。
チャン・グンソクは?
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください