2012年01月12日
明らかに読書面の対象にならないと判断した本は、私の手元に届いた段階で最初から除外する。例えば実用書、辞書、自己啓発書、語学本、パズル本、楽譜集、紀要。献本されない本もたくさんあるだろうから、実は新聞の読書面が扱っているのは「本」と呼ばれるもののごく一部に過ぎないことがわかる。一度「読書面に載らない本」を紹介する特集ができたら、と夢想している。
毎日数十冊と届く本をどうさばくかというと、中身だけでなく、外観や手触りでも判断している。まずタイトル、表紙の体裁。タイトルだけでは判断がつかなくても、例えばB6判のソフトカバーで表紙が派手だと、実用書や自己啓発書であることが多い。さらに中身をちらっと見て、字が大きかったり二色刷りだったりすると、読書面の対象となる可能性はかなり低くなる。四六判で白くて分厚いと、難解な本である可能性が高い(例えば某大学出版局)。
装丁がダサいと、中身もダメであることが多い。もちろん装丁がダメでも、いい本はあるから注意しなければならないし、そういうものを見つけ出す眼力が私たちには求められているのだけど。
こうしてみると、紙の本の外観が、本の中身までも表現する、実に豊富な情報を持っていることがわかる。第38回大佛次郎賞に決まった司修さんの『本の魔法』(白水社)を読むと、この豊かさは、編集者や著者との濃密な関係の中から生まれていることが伺える。
電子書籍の時代になると、この運用がどうなるのだろう、と思う。いちいち中身、少なくともとも目次を見なければ判断できないのか、と考えると気が遠くなる。
それとも
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