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地方都市、いや、ド田舎での『食べログ』の使い道とは…

青木るえか エッセイスト

 『食べログ』のヤラセ問題について、「エエッそんなズルイことをやってたんですか!」と怒る人があり、「あんなもん見て店決めるやつがバカ」と嗤(わら)う人ありですが、私はちょっと別のことを考えた。

 私はけっこうよく『食べログ』を見る。地方都市と呼ばれる場所に行くことが多いので、行ったらその土地で何か食べたい。どんな店があるか下調べのために、見ておく。

 この地方都市というのが「岡山」とか「大津」とか「甲府」とかならまだいい(岡山はわからないが、大津と甲府は住んだことがある。ほんとうにどうしようもないド田舎というべきところである。しかし、それでもなお、大津や甲府なら「まだいい。まだマシ。大マシ!」なのである)。

 私が知りたいのが「伊予西条」とか「伊予北条」とか「柳井」とか「武生」とかだ。メジャーじゃない県の、県庁所在地ではない、JR特急列車の停まる駅の町、というスケールの土地の食べ物屋情報がほしい。

 で、『食べログ』を見るんだけど、これがほとんど使い物にならない。私が欲しい情報は、駅前にある、中華ソバとカツ丼とカレーやってる定食屋とか、いつつくったんだかわからない羊羹や桃山饅頭売ってる横でこれも3年前から並んでるんじゃないかというジャムロールとか売ってる菓子店、などである。そういう店で出される、ぱさぱさした味の食べ物が食べたい、のだ。

 『食べログ』が、このような嗜好を満たすための検索ツールとして、ほとんど役に立たないことはわかっている。もっとリッチかつジャンクかつペラペラな食べ物屋が高得点になるのが『食べログ』の世界だ。店員が黒装束のラーメン屋(一杯1000円とかする)などが伸ばす世界。

 そんなことはわかってるんだが。列車をおりて改札くぐって、駅前にしなびた定食屋とか菓子屋でもあればそこに入ればいいだけだから問題ないんだけど、そうはいかんのですよ。JRの駅前、というと都会の人は賑わってると思いがちですが、イナカの場合、駅前と中心地が乖離してることがよくあって、駅おりてもなーんにもない、ことなんかザラで、はたしてこの町には食べ物屋があるのか、と途方に暮れること10回以上に及び、事前に食べログで「食べ物屋の有無」だけでも調べていく、ことにしたのだ。

 でも

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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