メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS
 前回、書評のための本の粗よりのことを書いた。なじみのない体裁の本であるがゆえに、検討対象から外してしまうこともある。

 『DOMMUNEオフィシャルガイドブック 1ST』(幻冬舎)もそんな本だった。宇川直宏(この人の肩書もよくわからないのだが)が主宰するネット放送「DOMMUNE」のコンテンツを本にしたものだが、登場人物は中村うさぎ、飯田哲也、菊地成孔、戸川純……と脈絡がない。書評に適する本か迷い、対象から外した。その後読売新聞の読書面には取り上げられ、検討対象にしてもよかったのでは、と若干後悔することになる。

 その2号が河出書房新社から出た。表紙はももいろクローバーZに囲まれる富田勲(朝日賞受賞者)。「拡張するデモの現在」と題した、「素人の乱」から「右から考える脱原発ネットワーク」に至るまでの、左右・新旧の反原発運動当事者が一堂に会しての座談会も面白かったのだが、私が興味深かったのはミュージシャンのロマン優光とライターのさやわかによる「アイドル論壇」をめぐる対談だ。

拡大吉田豪さん

 さやわかは昨春、ライターの吉田豪と「ももクロ語り」をめぐる応酬をツイッターでしていた(http://togetter.com/li/124754)。2人とも、ももクロをめぐる仕事をしているのだが、吉田は主に「BUBKA」を、さやわかは「STUDIO VOICE」や「クイックジャパン」を舞台としている。身も蓋もなく言ってしまえば、前者は野蛮メディア、後者は上品メディアと言ってもいいだろう。両方とも私は好きですが。

 2人の応酬では、「パフォーマンスアート」といったさやわかの言葉遣いを吉田が批判していた。一方プロレス的文脈にももクロを位置づけようとする吉田への違和感もギャラリーからは伺えた。「カルチャー」対「プロレス」の応酬と言ってもいいだろうか。

 ロマン優光も主に「BUBKA」をフィールドとしている。ももクロの見方がサブカル文脈に一元化されることを危惧、さやわかの仕事を「オタじゃない人に向けて、その人たちの言語で『見てください』って書いてる」とした上で、「特定の文化圏の人にしか伝わらないハイカルチャー的な用語を使っているわけだし、批評行為自体に耽溺してて、その対象を探している人間だと思われてますよ」と批判、さらにももクロの運営側を、サブカルへのすり寄りを見せている、と危惧する。

 これに対し、さやわかは ・・・ログインして読む
(残り:約1252文字/本文:約2250文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

鈴木京一

鈴木京一(すずき・きょういち) 朝日新聞読書推進事務局長

1963年生まれ。東京大学教養学部卒。1987年、朝日新聞社入社。東京と大阪の旧学芸部や文化グループで、主に論壇関係の取材記者や編集者をしてきた。2011年2月から読書編集長。現在、文化くらし報道部・読書推進事務局長。女性アイドルのライブ見物が20年来の趣味。好物は「ハロー!プロジェクト」。

鈴木京一の記事

もっと見る