2012年01月26日
『采配』も普通だったらスルーするところなのだが、落合さんには恩があるので買って読んでみた。で、やはり、この人は天才だと確信したのだった。
「向上心より野心を抱け」とか「欠点は、直すよりも武器にする」とか「オレ流ではない。すべては堂々たる模倣である」とか。目次からして売れるビジネス書みたいな作り。おそらく落合さんが野球話を語っているのを、やり手の編集者が潤色してビジネスに結びつけ、オヤジマーケットを狙っているのだろう。やりすぎ感があるにはあるが、しかし、落合の野球観は、ライター業にも通じる。普遍的な金言が満載だ。
「落合さんには恩がある」と書いたが、べつに面識があるわけじゃない。全盛期を過ぎて現役選手を引退したころ、どこかの新聞の小さな広告記事で読んだ1行に、バリバリッと雷に打たれたのだ。
史上初の3度の三冠王に輝いている落合は、言うまでもなく「天才」だろう。しかし、落合はその広告記事で、おおよそこんな趣旨のことを言っていた。
――プロ野球に入ってくるような奴は、みんながとてつもない才能を持っている。でも、才能なんて大したことないんだ。結局は、バットをたくさん振った奴が勝つ。
え? この人、すごくフツーじゃないか? それこそビジネス書みたいなことを言っちゃうの?
最初はそう思っていたのだが、
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