2012年02月10日
私が感心したのは、兵庫県知事清盛コメントを受けての、広島県知事の発言。例の「清盛の瀬戸内海は青くない」って文句つけてた「兵庫県知事大河コメント第三回」に対しての返しですよ。
私もあのコメント聞いた瞬間「何言ってんだこのおっさん」と思ったぐらいなので、瀬戸内海の持ち主ともいえる広島県知事も同様だったのだろう。「瀬戸内海の海は翡翠色だ」とすぐ返した。
この「翡翠色」ってのが、さすがの地元、常に瀬戸内海を見慣れた人間の発言だ。
私は「兵庫県知事の言うことはぜったいちがう!」と思いながらもうまく言葉を選びきれず、「瀬戸内海の色は青くなんかねえ。せいぜい青黒い」とか言っていた。「青黒い」ではぜんぜん瀬戸内の海の色を表現できていない。そうそう、翡翠色なんですよ! で、その「翡翠色」っていう言葉の選び方がさすがの政治家。
瀬戸内海の色に、もっとも似通ったものを探すとすると、住之江競艇場の水の色である。
競艇場には「海や川や湖の片隅を柵で囲ってボートを走らせる」のと「地面に穴掘ってプールにしてボート走らせる」の2種類あって、住之江はプールの代表的競艇場です。プールの競艇場って何か異様な閉塞感がある。みょうにとろみがついてるような水面は、汗、涙、その他体液、恨みつらみ、犯罪、貧困、暴力など、ありとあらゆるものがエキスとなって煮込まれているようだ。
尼崎もプールの競艇場だけど、水面の濃度は住之江のほうがだんぜん高い。そもそも尼崎は最寄りが「センタープール前」とかいう駅名で、子供の頃はてっきり市営プールでもあるんだとばかり思っていた。競艇場のプールならもっと堂々とドロドロしろといいたい。
話がずれてしまったが、その住之江競艇場のプールの水の色が瀬戸内海の色そっくり。で、住之江の水はまさに「翡翠色」なんだ。私はずっと「住之江のあのドブ泥みたいな……アオミドロみたいな……住之江ボート色」とか言ってうまく言い表せないでいたけれどそれはズバリ「翡翠色」であった。広島県知事さすが!
そもそも翡翠って、宝石の中じゃそんなキレイなものではない。濁っててくすんだ緑色で、ウミみたいな色ともいえる。でも、翡翠といえばいちおう宝石であるし、キレイな色だと言い張れないこともない。政治家として「地元の海が汚い」と言うわけにもいかないので、翡翠色とか言ってれば穏当である。わかる人間には「あ、キタネエって言いたいんだ」ってわかるし。瀬戸内海は、ウミみたいな、翡翠色です。
さて、センスに欠け、さらに中途半端というダメさを露呈した兵庫県知事でありますが、私は彼の気持ちが多少、わかる。
たぶん、「ウチんとこにも関係ある大河だし見よっと」と思ってそれとなく見はじめたら、とにかく期待とちがっていた。それでものすごい違和感に襲われちゃったんだと思う。「エーッ。大河ってこんなんじゃないもん! もっと豪華でキレイなんだもん!」となり「こんなの受け付けないもん!」という気持ちになり、エライ人なもんで黙ってられず言ったら大ゴトになって、ひっこみつかなくなったんだろう。
ひっこみつかない、というのはみっともないことなんだけど、そうなった本人は「自分(or自分の感覚)は正しい」とことさら思いたがるし(それは多少自信がなくなってグラついてるんでますます必死になる)、そうなると言わなくていいことまで言っちゃうわけだ。
……という前置きで書き始めると「まるで自分がひっこみがつかなくなってる」と宣言しているようだが、そんなことはないと思いたい。
『カーネーション』についての文句である。
自分でも粘着ではないかと、ふと思いますね。でも気になってしょうがないんですもん。気になる、ということ自体がすでに敗北してるのか。NHKの朝ドラ相手に勝った負けたとか言ってる時点でもうダメだ。
なので勝負ではなくて、疑問点を挙げるという方式でいってみる。
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