2012年03月12日
『アーティスト』は、セリフのないサイレント映画でそのうえ白黒。そして何より監督も主演の2人もフランス人で、製作費の大半をフランスが負担した、純然たるフランス映画だ。外国映画が主要5部門を受賞した例なんて、英国やオーストラリアなどの英語圏を除くと聞いたことがない。もちろんフランス映画史上初めてだ。
なんでこんなことが起きたのか。
その秘密を解明する前に、まず今年のアカデミー賞の全体的傾向を述べておこう。授賞式の前に来日したマーティン・スコセッシ監督は、オスカーを取ると思うかという質問に対して、「受賞する作品は、毎年のハリウッドのムードを反映する」と答えた。ならば今年の「ムード」は、ずばり「映画愛」と「レトロ」なのではないか。
『アーティスト』は、トーキー映画が訪れて、サイレント映画のスターが消えてゆく話だ。『ヒューゴの不思議な発明』は、映画の草創期に活躍したジョルジュ・メリエスを少年が再発見する物語。
たぶん誰も指摘していないが、この2つの映画には同じようなシーンがある。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください